4月7日にリニューアルして発売されたキリンビールの「グランドキリン」と「グランドキリン ジ・アロマ」。2012年に手軽に買える本格的なクラフトビールとしてコンビニ限定で販売されているシリーズの商品だ。
「グランドキリン」と「グランドキリン ジ・アロマ」の新旧製品が勢揃い。左2つが旧製品、右の2つが新製品。 |
昨今、大手酒造メーカーが手掛けるクラフトビールの中でも、先駆け的存在。“ビールのおいしさはひとつではない”というメーカーの想いのもと、これまでに限定商品を含めて6種類が発売され、独自のビールの世界観を提案してきたブランドだ。
大手メーカーが発売する商品ながら、ビールづくりの一般的なセオリーに囚われることなく、醸造家による自由な発想で開発されているのも特徴だ。そんな“進化”を続けるブランドのビールがこのほどパッケージも含めて装いを新たにしたということで、気になっているビール愛飲者も多いはず。
今回、編集部に本製品を手掛けた醸造家の蒲生徹氏のメッセージやオススメのテイスティング方法が記載されたパンフレットが商品とともに届いた。そこで、早速、試飲を行い、2種類の商品の違いや、旧製品との違いも含めたテイスティングレポートをまとめてみた。
まずはパンフレットによると、「グランドキリン」「グランドキリン ジ・アロマ」のオススメの飲み方には4つのポイントがあるとのこと。そして、それぞれにオススメの飲み方が以下のようにアドバイスされている。
醸造家・蒲生徹氏のメッセージやオススメのテイスティング方法が記載されたパンフレット |
■「香りを楽しむ」――ビールの個性はまず香りからです。飲む前の香り、飲み込んだ後の鼻に抜ける香りを意識してみてください。
■「苦味を楽しむ」――“苦味”を楽しむために、ビンのままのもの、グラスに注いだものとで飲み比べをするのがおすすめです。ビンのまま飲むと、引き締まった苦味に、グラスに移すとマイルドな苦みになります。
■「時間をかけて飲んで、香りや味の変化を楽しむ」――びっくりするくらい香りや味が変わります。ホップの華やかな香りに変化が出てきたり、モルトの感じが出てきたりするので、それも楽しんでいただければと思います。
■「意外な食べ合わせを楽しむ」――「グランドキリン」は実は、ビターチョコレートと合うんです。「グランドキリン ジ・アロマ」はチーズケーキとも相性抜群です。
では、早速、上記をもとに、テイスティングを実施。まずは“香り”からだが、「グランドキリン」と「グランドキリン ジ・アロマ」の違いでは、“アロマ”の名が付くだけに、後者のほうがフルーティーでフローラルな香りが鼻先にも口の中にもダイレクトに広がる感じ。対してオリジナルの「グランドキリン」は“豊潤”という感じの落ち着いたどっしりとした香り。“これぞ、ビール”という感じの麦芽の香りが鼻にも口にも広がる。新旧で飲み比べてみたところ、いずれも新製品のほうが、濃厚で香りが深く、圧倒的に香りが持続する感じがした。
そしてお次は“苦味”。「グランドキリン」と「グランドキリン ジ・アロマ」で苦味が強いのは前者。「グランドキリン」はオーソドックスなビールらしい苦味だ。そして、オススメのビンとグラスでの飲み比べだが、正直、「容器が違うだけで味が変わるんだろうか?」と半信半疑で試してみたが、歴然とした違いに衝撃。確かに、ビンのままダイレクトに口に含んだときは、ビールの発泡性が喉を直撃するといった感じで、キレのあるスキッとした喉ごし。グラスに移して飲んだ場合は、香りも苦味も全体的に空気を含んでから広がる感じでマイルドになる。特に「グランドキリン ジ・アロマ」のほうは、ワインのように優雅でまろやかな味わいに変わる。
ビンとグラスでここまで味が変わるとは… |
さらに“時間による変化”だが、ビールと言えばよく冷えたうちに泡がなくならないうちに飲み干すのが鉄則と思っていたが、これまた常識を覆された思いだ。常温でも問題なく美味しく飲める。
最後は“食べ合わせ”。醸造家オススメのビターチョコレートと、チーズケーキを用意してみた。
まずはビターチョコだが、日本チョコレート・ココア協会によると、“ミルク(乳製品)が入らない、カカオマスが40~60%のチョコレート”が定義。そのまま食べるとカカオの苦みとほのかな甘さがほどよく調和されたちょっと大人な味わいが特徴だ。相性がよいとオススメの「グランドキリン」と食べ合わせてみた感想は、確かにあとを引かないスッキリとしたビターチョコと豊潤ながらも爽快な喉ごしを持つビールが好相性。とはいえ、チョコレートのわずかな甘みが苦さを中和してくれ、相乗効果でビールが飲みやすくなる。
食べ合わせのチェック。まるでワインの試飲をしているようだ… |
もう1つのチーズケーキ×「グランドキリン ジ・アロマ」は、チーズの酸味が絶妙にマッチ。「グランドキリン」に比べると、フルーティーで口当たりが軽い「グランドキリン ジ・アロマ」だが、そこにチーズケーキのクリーミーなー濃厚さが合わさり、バランスが非常によくなる感じで、スイーツとも合うビールを実感できた。
昨今の“クラフトビールブーム”もあり、以前にもましてよりどりみどりのビールを家庭でも手軽に楽しめるようになった日本のビール市場。これからの季節、気温が高まり、ますますビールがおいしく感じられるシーズンだが、“喉ごし”や“爽快感”を求めて一気に飲み干すビールの楽しみ方だけでなく、ワインや日本酒、ウイスキーのように香りやテイストといった、素材そのものの本来の味わいを堪能する“スロービール”な楽しみ方も一興だ。そんな楽しみ方にうってつけなのが「グランドキリン」と「グランドキリン ジ・アロマ」の2商品。これまでとはひと味違う、1本でも満足できてしまうビールの楽しみ方を試してみてほしい。