国際通貨基金(IMF)は6日、アジア太平洋地域経済見通しを発表した。それによると、同地域のGDP成長率は2015年が5.6%、2016年が5.5%と予測し、「見通しは堅調で安定しており、今後も世界の成長リーダーであり続ける」と報告している。
地域全体のパフォーマンスを見ると、国ごとにばらつきが出ると予測。中国経済はより持続可能なペースに減速し、2015年のGDP成長率は6.8%、2016年は6.3%と予想している。インドの成長率は2015年と2016年に7.5%へ上昇し、世界で最も急成長する見通し。一方、日本の成長率は2015年が1.0%、2016年は1.2%に回復すると見込んでいる。
アジアの潜在成長率については、生産性の向上が低下し、高齢化やインフラのボトルネックの影響を反映して減速する可能性が高いものの、「世界の経済成長におけるアジアの主導的な役割は中期的に継続する」と予測。その上で「アジアの見通しは負の事象に対して脆弱であり得る」と指摘し、下振れリスクとして、中国や日本の成長率が予想を下回り、それがアジアの他の国・地域や世界経済に影響を及ぼす可能性や、米ドル上昇に伴う債務の拡大などを挙げている。
このほか、主要な改革分野として、中国は国営企業および金融自由化、日本はサービス生産性および労働力参加の向上イニシアチブ、インド、ASEAN、フロンティア経済および小国は供給ボトルネックに対処する政策を挙げている。