経済産業省はこのほど、中国政府がレアアース、タングステン、モリブデンの3品目に賦課している輸出税を廃止したと発表した。
中国は1999年以降、重要戦略的資源であるレアアース、タングステン、モリブデンに輸出数量制限を順次導入すると同時に、2006年から輸出税を賦課。また、2006年以降は輸出割当数量を年々削減し、特に2010年下半期の輸出割当を大幅に削減したことなどからレアアース価格が高騰し、市場に混乱をもたらした。
このような事態を受け、日本、米国およびEUは2012年3月、中国による輸出数量制限、輸出税の賦課などの輸出規制は世界貿易機関(以下、WTO)協定に違反するとして、WTO協議要請を行い、同年6月にパネル設置要請を実施。WTO上級委員会は2014年8月、中国の輸出規制措置はWTO協定に違反するとの報告書を公表し、中国の輸出規制措置の違反が確定していた。中国はWTOの勧告に従い、2015年1月1日に輸出数量制限を撤廃、輸出税についても同年5月1日から撤廃することになった。
日本は引き続き、輸出規制の運用の状況を注視し、必要に応じてWTO協定に整合的な運用を求めて働きかけを行っていくとしている。