目を閉じて、深く静かに思いをめぐらす「瞑想」。思考の整理にも有効な手段だが、雑音や他人の気配などがあるとなかなか難しい。
大和ハウス工業が川崎市高津区建設した賃貸マンション「LIFE」は、日本初の「瞑想(メディテーション)スペース」常設物件。賃貸物件に瞑想専用スペースは必要なのかと思うかもしれないが、実はちゃんと理由があった。
「生きる」がテーマのマンション
同社横浜支社では、2010年より建物の付加価値や居住性向上を目指し、「建築とアート」をテーマに集合住宅を建設。過去には3Dプロジェクションマッピングをエントランスホールに導入した物件や不思議の国のアリスをテーマにした物件などを発表している。
「LIFE」はその名の通り「生きる」をテーマにしたマンション。構造は下層部が認可保育園、上層部は賃貸となっており、建物の左側にある高さ12メートル(ビルの4階に相当)の空間が入居者専用の瞑想スペースとなる。
「瞑想スペース」はただの無音で真っ暗な部屋ではなく、LEDとミラーの反射、サウンドが作り出す「擬似的無限世界」である。手がけたのは、B'zやラルク・アン・シエルなどの人気バンドのライブ演出、NIKE 3D ILLUMINATIONなどを手がけた松本卓也氏ら3名のアーティスト。この部屋は、瞑想と同時に光と音が楽しめる「インスタレーション(展示空間を含めて作品とみなす現代アート)」スペースでもある。
瞑想スペースで瞑想してみた。
作品のタイトルは「expose(感光する/露光する)」。1回15分間のプログラムで、暗い空間で様々な質の光を浴びることで起こる感覚や感情の変化を体験できる。
プログラム開始前の室内は真っ暗で、プラネタリウムが始まる前のような高揚感がある。始まってみると、瞑想よりも壁を走る光と音を追いかけるのに夢中になってしまう。合わせ鏡の壁面により、空間がずっと遠くまで続いているような感覚に陥る。
光源は58本のLEDバー。「おぼろげな光」「暗い光」「明るい光」を専用調光器でコントロールし、定型とプログラムによるランダム再生で作品を作り出す。サウンドはLEDプログラムと連動している。
始めこそ光を追いかけるのに夢中であったが、終わってみるといつの間にか「無心状態」になっていたことに気付かされる。瞑想にはヒーリング効果があると言う人がいるように、たしかに体の力が抜けてリラックスすることができた。
アーティストの松本さんは、「このインスタレーションは、アートが寄り添う生活を居住者が体験できるスペースです。暗い部屋で光の大切さを感じるとともに、リラックスしてもらえば」と語っていた。
専有エリアは普通におしゃれ
瞑想スペースという不思議な施設がある「LIFE」だが、専有エリアはシックでシンプルな作り。物件周辺は緑が多く、リラックスできそうだ。都会の喧騒に疲れた方、自分を見つめなおしたい方は、同物件で豊かな瞑想ライフを楽しんでみてはいかがだろうか。
場所は神奈川県川崎市高津区新作1丁目1733-1他。賃貸形式で戸数は19戸。なお瞑想スペースには宗教的要素は含まれていない。