新しく社会人になるなど、新たに給料振込口座を開設する人も多いこの時期。これから、その口座が基本となってお金の出し入れを管理していくことになります。と同時にATMの利用も多くなります。ATM利用の基本を知らずに、無駄にお金を使うことのないように3つのポイントをご紹介します。

お金を引き出すときに手数料を払うのはもったいない!

まずは、下図を見てください。一瞬で理解できる人は少ないかもしれません。これは、みずほ銀行のATMでお金の入出金、振込、残高照会をした場合に、いくら手数料がかかるかを、曜日、時間別に抜粋したものです。

ATM利用の多い預け入れ、引き出し、振り込み、残高照会の4つに絞りましたが、このほか振替や定期預金の取引などもATMででき、それぞれに利用できる時間、手数料が決まっています。

ATM利用はお金の引き出しが一番多いと思いますが、その際、手数料を気にしたことはあるでしょうか? こうした図はATMの前にも貼られていて、注意を促しています。

しかし、時間外の引き出しで1回108円、216円と手数料がかかっていても気にしない、もしくは仕方がないと考える人も少なくありません。最近は24時間ATMコーナーが開いていますし、コンビニでも気軽にATMを使えるようになりました。確かに、いつでも使えるのは便利ですが、だからといって、常に無料で使えるわけではないのです。

日中は仕事が忙しくお金を引き出す時間がなかった、週末にどうしてもまとまったお金を引き出さなくてはいけなくなった、そんな人もいるでしょう。それでも、本来、手数料無料で引き出せるはずの自分のお金なのに、ちょっとした時間のずれで手数料を払うのは、なんとももったいない話です。

仮に、100万円を普通預金に預けたとして、1年後に受け取れる利息は、税引後でわずか約160円です。ATMを深夜早朝に1年に1回利用しただけで利息がなくなるどころか、貯蓄を取り崩すことになってしまいます。

手数料無料になるサービスをチェックしよう

と、ここまでは当たり前といえば当たり前の話。今、実は注意が必要なのは、提携先のATMでの利用。たとえば、上記のみずほ銀行の場合は、イオン銀行、ゆうちょ銀行、スルガ銀行、JR東日本ATM「VIEW ALTTE」(ビューアルッテ)、ステーションATM「Patsat」、そのほか数多くの銀行と提携をしています。もちろんコンビニのATMも利用できます。しかし、それぞれで手数料が異なるのです。

イオン銀行ATM、ステーションATMでお金を引き出す場合は、ほぼ、みずほ銀行のATM手数料と同じですが、それ以外は、平日の昼間であっても1回108円の手数料がかかります。提携しているから、使えるからと言って、安易にお金を引き出すと、無駄に108円の手数料がかかってしまうことがあるので注意が必要です。

そこで、チェックしたいのは手数料が無料になる仕組みやサービスです。

現在は、多くの銀行で一定の取引(月末残高、クレジットカード利用、給与振込、公共料金引き落としなど)があれば、月5回までは手数料無料、といったサービスを行っています。これは自行だけではなく提携しているATMからの引き出しでも同じです。例に挙げたみずほ銀行でも、「みずほマイレージクラブ」に加入すると時間外手数料が無料になるサービスがあります。

まずは、自分の利用している銀行に、こうしたサービスがないかをチェックしましょう。取引条件はそれほどハードルが高いものではなく、給振口座で月末残高が10万円程度あれば、大抵の場合はクリアするはずです(金融機関によって異なります)。サービスを利用しないのはソンです。

そして、もうひとつの方法は、生活費口座として使う銀行そのものを変えるというものです。

ネット専業銀行などで手数料優遇を活用する

最近は、お金の引き出しはコンビニATMを利用するという人が増えています。実際に、自分の取引銀行のATMを探すより、街中や通勤途中にあるコンビニのほうが便利です。こうした使い方をする人は、ATM手数料がいくらかかるか? 今の時間帯は無料なのか? と心配するよりも、よく使うコンビニATMの手数料が常時無料になる銀行にお金を移しておくというのが賢い方法です。

ネット専業銀行の場合は、使えるATMも多く、常時手数料が無料という銀行も少なくありません。下記に引き出しにかかるATM手数料を一覧にしたので、参考にしてみてください。

<著者プロフィール>

伊藤加奈子

マネーエディター&ライター。法政大学卒。1987年リクルート(現リクルートホールディングス)入社。不動産・住宅系雑誌の編集を経て、マネー誌『あるじゃん』副編集長、『あるじゃんMOOK』編集長を歴任。2003年独立後、ライフスタイル誌の創刊、マネー誌の編集アドバイザーとして活動。2013年沖縄移住を機にWEBメディアを中心にマネー記事の執筆活動をメインに行う。2級FP技能士。