Microsoftの開発者向けカンファレンス「Build 2015」が現地4月29日から始まった。「Build」は2011年から始まった、最新の技術や次期製品を紹介する重要なイベントである。本レポートでは、新しいWebブラウザの正式名称が「Microsoft Edge」に決まったことなど、Windows 10とその周辺に絞って情報を整理する。
初日の基調講演では、Microsoftの方向性やMicrosoft Azureのマイルストーン、MacやLinuxを含むマルチプラットフォームのコード最適化エディター「Visual Studio Code」の公開、Office 365といった製品情報を順番に紹介。前回のBuild 2014と比べ、駆け足でアピールを行っている印象を受けたのは、それだけ取り扱う製品やサービスが多いからだろう。
10億台のデバイスにWindows 10を
日本時間の4月30日午前2時を回ったあたりに登壇したOperating Systems担当EVPのTerry Myerson氏は、今後2~3年の間にWindows 10搭載デバイスを10億台まで増やすことを目標にしていることを明らかにした。もちろんここにはPC以外にもモバイルやIoTなど、あらゆるデバイスが含まれている。
近々リリースするWindows 10 SDKにおいて、Windowsプラットフォームとその周辺機能を統合するコードを追加することと、次に紹介する4つのポイントを説明した。
1つめは「Web」。Webサイトでイベントが発生すると、Windows 10の通知機能を用いて更新を知らせる。そのデモンストレーションとして、各ジャンルの最新音楽をストリーミング再生する「22tracks」からの通知を披露し、Windows 10の新たな可能性を見せた。
2つめは「.NET&Win32」。新しいWindowsストアにWin32アプリケーションの登録が可能になるという。従来もエントリー自体は可能だったが、あくまでもWebサイトなどにナビゲーションするリンクを張れるだけだった。この変更に伴ってアプリケーション内購入やアフィリエイトプログラムなどを新たにサポートする。
Windowsストアに関しては新たに「Windows Store for Business」を用意。ただし、Microsoft AzureのActive Directoryを経由するため、多くのエンドユーザーにはあまり関係ない話だ。
Win32アプリケーションがWindowsストア経由で購入可能になる。その1例として「Adobe Photoshop Elements」と「Adobe Premier Elements」を紹介していた |
「Adobe Photoshop Elements」を使用し、Joe Belfiore氏の髪の毛をCloud&Enterprise Group担当EVPのScott Guthrie氏に重ねるお遊びも披露 |
3つめの「Android Java/C++」と4つめの「iOS Objective C」は似通った内容のため、併せて紹介しよう。2014年冬にMicrosoftはVisual Studioによるクロスプラットフォーム開発を発表したが、Windows環境とVisual StudioだけでiOS用アプリケーションをビルドするのは不可能だった。
だが、新SDKではこれらの言語に対応し、AndroidやiOSのアプリケーションをWindows 10上で実行することを可能にしている。すでにMicrosoftは数カ所のコード変更で、Windows Phoneにキャンディークラッシュを移植したことを明らかにした。ソフトウェア開発者に対して、どの程度の負担が発生するのかまでは語られなかったものの、新SDKの存在はWindowsストアの拡充を推し進める起爆剤になり得るだろう。