iPhone 6/iPhone 6 Plus向けのフルカバーガラスフィルムがITGブランドより発売となる。同製品の日本での販売代理店は株式会社KODAWARIが行っている。これまでに様々なiPhone用アクセサリを販売してきた同社の田村社長も、「これはすごい」と太鼓判を押す製品だ。いったい何がそれほどまでにすごいのか。来日したPATCHWORKS社のShim Kun Hee氏と株式会社KODAWARIの田村洋祐氏に開発の経緯を伺った。

PATCHWORKS社のKun Hee Shim氏(右)と株式会社KODAWARIの田村 洋祐氏(左)

――iPhone 6が発売された当初は全面を覆うフィルム自体がほとんどなくて、恐らく皆さんせっかく買ったフィルムが小さい、とかでがっかりされたと思うんですよね。でも最近は結構全面を覆えるフィルムって、ガラスフィルムもそうですけどいろいろ出てきていますよね。この製品ならではの徹底的な違いを教えていただけますか

Shim はい。ITG EdgeはiPhone 6の湾曲したラインの美しさを阻害しないよう、装着した後も曲面のラインを保てるよう仕上がっています。 フィルムって基本的には平面なんですよね。貼り付けるiPhoneの端が曲がっていると、どうしてもそこに隙間ができてしまったり、うまく貼れなくてはがれてきちゃったり、気泡が抜けなかったりと、いろいろフィルムとしては致命的な欠陥が出てきてしまうんです。 ガラスフィルムなんかだと、一番弱点である端の部分がちゃんと接着していないと、ちょっとぶつけただけで割れてしまったりします。 弊社がiPhone 6発売と同時にリリースをしようとした商品がそうでしたが、せっかく作ったのにここにいる田村が猛烈に反対をするので発売は見送りました(苦笑)。

田村 だって定価4,000円以上するのに一回落として割れちゃうフィルムなんて、怖くてオススメできないし、僕だったら買わないですよ(笑)。

――まあたしかにそうですよね(笑)。

Shim ITG Edgeの美しい曲面は、横から比べてみるとわかり易いです。参考に、この左の方がリリースを見送ったフルカバーガラスフィルムです。

左が従来のiPhone 6のフチを覆わないタイプのガラスフィルム。ITG Edgeは曲面部分もしっかりカバーしていることがよく分かる

――たしかに装着したところを真横から見ると、もともとiPhoneがこんな形だったかのような、つけてない状態と同じような曲面を描いていますね。このベゼルを覆うラウンドした部分の素材は何でしょう?

Shim これは医療用のシリコンです。専門用語ではリキッドシリコンといいます。飛行機のエンジンに使用されるほどの強度を持ちながら、赤ちゃんの哺乳瓶に使用されるなど安全性にも配慮された素材です。柔らかいので落とした時も衝撃がガラスに伝わりづらいので、ちょっとやそっとじゃヒビは入らないと思います。

――なるほど。しかし、シリコンとガラスフィルムという、まったく異なる素材を接着するのは大変だったのでは。

Shim まさに、その点が問題でした。医療用のシリコンを扱う日本の会社と技術開発を行って、なんとか成功させることができました。普通の射出機でシリコンを射出するのでは圧力と温度でガラスが割れてしまうため、インジェクションモールディング(射出成形)という方法でこれをクリアしましたが、度重なる問題点を一個一個解決していくのに、多大な時間と莫大なお金がかかってしまいました(笑)。

シリコン部分が白のタイプと黒のタイプ、2種類を用意している

――ディスプレイを覆っている部分、ガラスフィルムの素材はなんですか?

Shim ガラスも日本製で旭硝子社製のものを使用しています。日本製の質のいいものを使わないと、高度な技術を使ったインジェクションモールディング(射出成形)だとほとんどが不良品になってしまいます。私はこのガラスを"ウイニングマテリアル"、勝利の素材と呼んでいます。使っていただける消費者の方と我々が共にWin-Winの関係になれるからです。

――かなりの自信作であることがよくわかりました。しかし発売までずいぶんと長い時間かかったようですね。どれくらいの時間がかかったのですか?

Shim 大体普通の製品の開発期間は2カ月程度なのですが、ITG Edgeに関しては、iPhone 6のガラス面が湾曲しているかもしれないっていう噂が出てきた2013年の11月頃から開発を始めています。シリコンだけで6カ月、トータルでは約1年半かけて開発しています。ここまで長く時間をかけたのは、最高のものをユーザーに届けたかったからです。実はiPhone 6発売時の9月には90%くらい開発が終わっていたのですが、どうしても細かい部分で納得のいかないところがあり、完璧なものを作りたかったので細部までクオリティを追求しました。

――その完璧さっていうのは例えば実際に使ってみて、どういったところに差が出るのでしょうか。

Shim 目で見るとわからないけど、タッチしたときにかすかにわかるガラスとシリコンの間のなめらかさですとか、いろいろあるのですが、やっぱり落とした時の耐久性が一番だと思います。

田村 落としてしまうのは自己責任で、それで壊れてしまったらしょうがないってみんな思いますよね。でも、僕は落とすのは自己責任じゃないと思うんですね。むしろそういう人のためにフィルムってあるわけだから、ある程度は耐えられないとダメだと思う。さっきも言いましたけど、4,000円以上するフィルムが、ちょっと軽くぶつけただけで使いものにならなくなってしまう。僕は価格とクオリティの面で、そういった商品っていうのはユーザーをだましているのと同じじゃないかと思います。一般の消費者からしたら、安心してお買いものできませんよね。うちの直営店のSHOWCASE秋葉原で、永久保証サービスっていうのをやっているのですが、それは木製ケースとかガラスフィルムを、お客様が落として割ってしまっても全商品を無償で交換しますっていうものなんですね。お客様には安心して購入してほしいんですよ(笑)。

――こういった製品が今後、他社から出てくる可能性についてはいかがですか。

Shim 日本での特許申請や成形技術の独占契約も済ませていますし、仮に似たものが出てきてもクオリティで負けない自信があります。もしかしたら、それでも中国からコピー品が出てくるかもしれませんが、この技術だけはコピーできません。あとはコストパフォーマンスが悪すぎますからコピーしても儲けられませんよ(笑)。はじめからこれだけお金と時間がかかるってわかっていれば私も作っていませんからね。

――今後の展開などについて教えてください。

田村 最初は安心して購入ができることがコンセプトのSHOWCASE秋葉原とSHOWCASE Onlineで販売します。SHOWCASE秋葉原でもSHOWCASE Onlineでも、落として割ってしまった場合の無償交換が受けられますので二重で安心です。実は円安の影響もあるのですが、そもそものドルベースでの生産コストが予想を大幅に超えてしまって、普通にいろんなところで売ろうとすると希望小売価格が6,000円から7,000円くらいにしないと赤字がでてしまうんですね。さすがにそれだと、いくらいい商品っていっても消費者目線で考えるとあまりよくない。なので、今回は定価をがつんと3500円まで抑えて、よりたくさんの人にユーザーメリットを感じてもらってSHOWCASE秋葉原やSHOWCASE Onlineで買ってくれたらいいなって思っています。またSHOWCASE秋葉原では、永久保証が受けられる無償の会員登録をしていただいた方向けに、5月8日の午後6時~8時までに来店して頂けると無料でお渡し、希望した方には貼り付けまでできるモニターイベントも開催します。

iPhone 6/iPhone 6 Plusのラウンドした曲面のデザインを損なうことなく、ディスプレイを保護してくれるITGのフルガラスフィルム。最高の素材と技術で、とことんまでクオリティを追求した同製品は株式会社KODAWARIが運営するショップ、SHOWCASE秋葉原とSHOWCASE Onlineで手に入れることができ、更に万が一落として割れてしまった時にも無償交換も受けられる。ユーザーメリットを第一に考える一貫した同社の挑戦はまだまだ続きそうだ。