2015年1月21日(以下すべて現地時間)に開催した「Windows 10: The Next Chapter」でMicrosoftは、Windows 10とともにWindows appの「フォト」「ビデオ」「ミュージック」を刷新すると説明した。そして、3月31日に「Music Preview」「Video Preview」というプレビュー版を新Windowsストア(ストア ベータ)で公開した。今回はこの2つのアプリケーションについて言及したい。ちなみに「メール」「カレンダー」の新バージョンは流出中のBuild 10051で確認できるため、もうすぐ我々も試すことができるだろう。

新Windowsストアから入手できる「Music Preview」。ちなみに新Windowsストアは「ms-windows-store2://」というスキームでリンクを張っていた

必要最小限の機能にまとめた「Music Preview」

Music Previewを起動すると簡素なウィンドウが現れる。Music Previewで使用できるのは、個人の音楽コレクションに関する操作と再生リストの作成のみ。以前の「Xbox Music」でオンライン購入した楽曲は自動同期せず、ローカルデバイスに保存したコンテンツの再生にとどまっている。

他のPCから購入した楽曲をWindows 10 Technical PreviewをインストールしたPCにコピーして、Music Previewを起動した状態

上図のようにWindows appの基本UIデザインは、左側にツールボタンが並び、アクションコントロールはアプリバーが開いたような形状だ(マウスポインターが移動した際はアクションコントロールが非表示になる)。Music Previewで参照できる楽曲は既定の「%USERPROFILE%\Music」フォルダーのみだが、ユーザーは必要に応じて監視フォルダーを追加できる。

<Change where we look>を選択すると監視フォルダーの管理が可能になる

楽曲の再生中に<Now playing>ボタンを押すと、メイン部分にジャケットや楽曲名が現れる。<Go Full screen>ボタンを押すと、タイトルバー以外をすべて非表示にするフルスクリーンモードで楽曲を楽しめる仕組みだ。なお、コンパクトモードも後日追加される予定なので、作業をしながら楽曲を楽しめそうだ。

<Now playing>ボタンをクリックすると再生中の楽曲に関する情報やジャケットがメイン部分に映し出される

<Go Full screen>ボタンをクリックしてフルスクリーン表示に切り替えた状態。今後はコンパクトモードも加わる予定だ

気になるのは音楽CDからのリッピング機能である。Windows 10 Technical Previewは、Windows Media Player 12を搭載しているが、こちらはWindows 7以降バージョンアップしていない。さらにMicrosoftはデスクトップアプリからWindows appへの移行を宣言しているため、新バージョンが出る可能性も乏しい。WMP 12をそのままにユーザーの移行をうながすのであれば、リッピング機能やDLNAサーバーとの連動など、新「Music」に搭載すべき機能は多い。

コンテンツ管理をストアに集約

「Video Preview」もプレビュー版だけあって、使用できる機能は限られているが、Music Preview同様にローカルコンテンツ(ファイル)の視聴に加えて、Xbox Videoで購入したコンテンツもサポート。あるデバイスで途中まで視聴したコンテンツの続きを、別のデバイスに引き継いで視聴できる機能も搭載している。筆者は、AVI/MP4形式の他にMKV(Matroska Video)やMTS(AVCHD)、TS(MPEG-2)形式ファイルで試してみたが、いずれも問題なく再生できた。

「Video Preview」のメイン画面。ローカルコンテンツのサムネイルが並ぶ

動画再生中のパフォーマンス。Surface Proで確認したところ、CPU負荷は10~20%程度だった

現時点では再生機能のみで必要最小限のアプリケーションという印象だが、今後は映画やTV番組のオンライン購入や対応デバイスの管理といった機能を加えるという。そこで気になるのが、新Windowsストアに加わった「映画とテレビ」タブだ。Microsoftは3月に「映画とテレビ」タブを加えたが、4月9日からストア内のページでビデオのレンタルや購入を可能にした。この対象範囲は米国やカナダと並んで日本も対象に加わっている。だが、よく見るとコンテンツはWindowsストアアプリの「ビデオ」から購入できるものとまったく同じだ。SD動画レンタルは411円、HD動画レンタルは511円と価格も同様である。

新Windowsストアに加わった「映画とテレビ」。映画やTVコンテンツの購入やレンタルが行える

こちらはWindows 8.1上の「ビデオ」。基本的に購入できるものは同じだ

さらに新Windowsストアは「音楽」タブを今後数週間のうちに追加すると述べていることから、Windows 10におけるコンテンツ購入をアプリケーションベースから「ストア」へ移行・集約させるつもりなのだろう。もともとこれらのコンテンツサービスや、Xbox VideoやXbox MusicをWindowsプラットフォームに取り組んだものだけに、Windows 8.x時代は歪な印象を受けるものだった。今夏リリースのWindows 10で、ビデオオンデマンドやストリーミング、ダウンロードサービスは一つの完成形を迎えることになるだろう。

こちらはWindows 8.1上の「ミュージック」で「ストア」を開いた状態。これらのコンテンツサービスも新Windowsストアに集約する予定だ

阿久津良和(Cactus)