スマホは手軽だが、ズームが苦手

桜が散って、入学式も終わったら、今度は春の運動会シーズンの到来。昨年、「スマホで十分」と運動会に持っていき、わが子が小さくしか写らず、後悔したお父さん、お母さんも多いことだろう。

そう、スマホは手軽に撮れるのだが、ズームが苦手。たとえズームできたとしても3倍程度なので、そうとう近寄らないと大きくは写せない。それにデジタルズームなので、どうしても解像感が乏しく、クリアに撮ることができない。

そこで活躍するのが、高倍率ズーム機能を持つコンパクトデジタルカメラだ。

薄型でも光学30倍ズームが可能

これら3枚の写真は、一番下が光学1倍、中央が光学30倍、一番上がさらにデジタルズームを使って60倍で撮影したものだ。いずれもキヤノン「PowerShot SX710 HS」を使用。もしスマホだったら、どこまで大きく写せるだろうか?

最近の高倍率ズームカメラの進化は驚きで、ハイスペックモデルなら光学ズームで60倍以上、薄型タイプでも30倍と必要十分のズーム性能を持つ。運動会の場所取りで後手にまわったとしても、レンズを向けられるスペースがあれば満足のいく大きさで写せることだろう。

また、デジタルズーム機能を併用することで、さらなる望遠撮影が可能だ。たとえば、光学30倍なら、デジタル2倍をかければ60倍で撮影できる。ただし、デジタルズームで倍率を上げると撮影できる画像サイズが小さくなるので、使う際にその点だけは頭に入れておきたい。

遠くの被写体を狙いやすくするアシスト機能

高倍率ズームカメラは運動会にとても便利だが、、望遠にすればするほど撮影範囲が狭くなるので、ちょっとのズレで被写体がフレームから外れてしまう。そこで、あると便利なのが被写体を探しやすくするアシスト機能だ。たとえば、キヤノンの「PowerShot SX710 HS」では、専用ボタンを押すことで一時的にズーム倍率を下げてくれる。

PowerShot SX710 HSの「フレーミングアシスト-探索」ボタン(左下)。このボタンを押すと、上の写真ような望遠ズームから、右下のように一時的にズーム倍率が下がって被写体を探しやすくなる

手ブレ補正は強力だが一脚もあると便利

高倍率で撮影する際は、少しの手ブレでも写真や動画が台無しになってしまうことがある。現在は、ほとんどのデジカメに手ブレ補正機構が搭載されているが、高倍率ズーム機ではさらに一歩進んだ手ブレ補正を持つ製品が多い。

とはいえ、カメラをしっかりホールドするに越したことはない。また、手持ちで長い間カメラを構え続けるのはなかなかツライものがある。そんな時にあると便利なのが「一脚」だ。その名の通り一本脚なので、三脚に比べると安定性は落ちるが、とにかく場所をとらないのが最大のメリット。

運動会などは撮影できる場所があらかじめ決められていることが多く、その混み具合は体験した人ならわかると思うが、三脚を立てるとなるとそれはそれは周囲に気を使うことになる。そんなシーンでも足先に棒一本立てればよいので、非常にお役立ちだ。一本脚といえども地面を支えにしているので、手持ちに比べてはるかに安定した撮影が可能になる。カメラと一緒に購入しておくと何かと役立つオススメのアイテムだ。

メーカーや製品ごとに手ブレ補正機能の技術は異なる。たとえば、左の写真を撮影したPowerShot SX710 HS(右)は、5軸手ブレ補正機能を搭載。さまざまな方向のブレを抑制し、動画撮影でも威力を発揮する

ベルボンの携帯用一脚「ULTRA STICK SUPER 8」。収納時は26cm、最大伸長時で156cmと、コンパクトでありながら使い勝手のよい製品

紹介してきたように、最近の高倍率ズーム機は望遠撮影で役立つ機能が多く搭載されている。昨年失敗してしまった人や今年から参戦する人などは、この機会にぜひ検討してみよう。デジタル一眼カメラとは違ってレンズ一体型なので別途望遠レンズを買う必要がなく、おサイフに優しい。しかも、コンパクトで軽いとなれば、お母さんでも手軽に扱える。二つの難題を軽くクリアできるので、家族会議でもめることもないハズだ。