つくば国際スポーツアカデミー(TIAS)は14日、日本で初めて開催された世界有数の医学アカデミアが企画・運営する国際会議「世界医学サミット(WHS)京都会合 2015」において、2004年アテネオリンピックの男子ハンマー投金メダリストで、現在は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会スポーツディレクターや東京医科歯科大学教授を務める室伏広治氏と、国際オリンピック委員会(IOC)理事のウグル・エルデネル氏らによる特別座談会を実施した。
同イベントでは、国内外を代表する著名な医師や研究者、行政、産業界の代表らが集い、“超高齢化社会への挑戦”、“自然災害への対応と準備 ”、“次世代リーダーシップの育成”をテーマに、各種講演やディスカッションなどを展開。講演後に行われた特別座談会では、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックが“スポーツ・フォー・オール”の実践の場としてどのような役割を果たすのか、さらにその中でTIASに期待することについて、TIASアカデミー長の真田久教授がファシリテーター役を務め、室伏氏とエルデネル氏ほか、国際マスターズゲーム協会事務局長のジェンズ・ホルム氏らが参加した。
エルデネル氏は、IOC理事、および医事委員会委員長の立場から「オリンピックが的確に運営されることによって、健康的な人々が生まれる、生活の貢献につながると思う」とコメント。また、ホルム氏は「高齢化社会の中でスポーツの役割を考えると、人々の寿命が単に長くなるだけではなく、生活の質を維持しながらの長寿ということが重要であると考える」と語った。
また、オリンピックとマスターズゲームの今後の連携については、「まだ明確に言うには時期が早いが、両者の間には合意があり、IOCでも連携を持っていこうという前向きな意思がある。今回、日本が初めての例になるのではないか」とホルム氏。エルデネル氏も「まず、アジェンダ2020に記載することが決定した、そのこと自体が重要」とし、オリンピックとマスターズゲームのさらなる連携強化を言明した。
さらに、2014年に“TIAS 短期プログラム”のオープニングスピーチを担当した室伏からは、「スポーツを通じての国際交流の場を設けることは非常に素晴らしいことだと思うし、広がっていくようにするべき。TIASには非常に大切なプログラム・教育の内容が盛り込まれており、頭で考える教育だけではなく、身体を通して体験する教育も重要だと思うので、そういったところで回を重ねていきながら深みが出てくると思うし、期待している」とTIASに対する期待と、TIASの持つ役割の重要性について語られ、自身も協力していきたい意向が伝えられた。
なお、TIASは日本政府が推進するスポーツ、およびオリンピック・パラリンピック普及のための“Sport for Tomorrow”プログラムの一環で、政府の全面的な支援を受けている団体。母体となる筑波大学は、“日本の体育の父”とも呼ばれ、前身校の学長であった嘉納治五郎氏がアジア初のIOC委員を務めたこともあり、100年以上にわたって日本のオリンピック・ムーブメントを牽引している。TIASでは、2020年に東京で開催されるオリンピック・パラリンピック競技大会を見据え、世界から選出された学生と交流し、オリンピック・パラリンピック教育をはじめ、最新のスポーツマネジメント、ティーチング・コーチングなどを幅広く学ぶことができる。