今年のCP+でも大いに注目を集めたリコーイメージングの最新一眼レフ「PENTAX K-S2」。今回はそのK-S2とともに横浜を散歩。この地ならではの異国情緒をPENTAXらしい鮮やかな色彩で切り撮ってみようという寸法だ。
「PENTAX一眼レフとしての総合的な実力と完成度は、やはりフラッグシップたるK-3が上だとは思うんですよ。でもね、そんなK-3も背中越しにこんな実力者(K-S2のこと)が控えていたら、こりゃもう、まったくうかうかしてられませんよ」というのは、K-3ユーザーである大先輩デザイナー氏の談であるが、まったくもって同感だ。
確かにスペックだけ見れば、K-S2は有効2012万画素APS-Cセンサー、SAFOX X 11点測距AF、最高連写コマ数5.5コマ/秒(連続30コマまで)、シャッター速度も1/6000秒と、そのどれもがK-3には及ばない。K-5やK-3で絶賛された、しとやかな淑女の所作をも思わせる静かで上品なシャッター音も、カシャン、というありがちな金属音の混じったものとなってしまった。
しかし一方、おそらくはカメラにとってもっとも肝心な、撮影のしやすさはどうか。その点においてK-S2は、これらスペックの差など微塵も感じさせず、K-3に肉薄するパフォーマンスをみせる。……というのは、K-3ユーザーの方々にやや気を使った表現だ、素直な個人的感想としては、街角のスナップや家族写真、ポートレートといった撮影シーンにおいては、従来のK一桁より遙かに快適で満足のいく結果が得られた。
それらは、K-S2の迷いが少なく速いフォーカスと、ローパスレスの高い解像感にあると思われる。思いがけないタイミングで出会う「キレイ!」「かわいい!」「カッコいい!」という感覚的衝動。そのわずか何秒間かのワンシーンを切り撮るべくカメラを取り出して電源を入れ、シャッターを半押しして、さらにぐっと押し込む。今までのPENTAX一眼レフが今ひとつ得意でなかったこんなシーンでも、今回、K-S2はしっかりと期待に応えてくれた。