昨年12月に公開されたアニメーション映画『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』のBlu-ray発売を記念した上映会が10日、東京・新宿ピカデリーで行われ、出渕裕総監督、西井正典チーフメカニカルディレクター、別所誠人チーフディレクター、声優で桐生美影役の中村繪里子が登壇した。
公開時とは異なる舞台あいさつに中村は「上映期間中が中心なので、このタイミングでまた劇場に来れるのはヤマトが皆さんに本当に愛されているおかげだなと思います」と改めてファンに感謝。中村は出演者として、そして一人のヤマトファンとして聞き手にも加わり、続いて出淵総監督らが呼び込まれると、出渕総監督は一緒に登場した二人を「西井さんはメカニカルディレクターで、艦や飛行機、エフェクトなどをチェックする役割で、メカ描写の底上げを仕切ってくれる人です。でもそれ以外のこともいろいろやってくれています。クオリティコントロールの要です。別所さんは演出の総元締めとしてチェックしてくれています。いわば現場監督です」と評し、中村は「助さん格さんみたい」と返してファンを笑わせた。
自身の役回りについて西井氏は「肩章のチェックとかも自分がやっていました。制作にあたっては絵コンテに関わっている人たちの思い入れがありすぎて、内容がどんどんふくらんでいって、それをどう納めるかでした」と制作の悩みを吐露。別所氏は「出淵さん自身は思い入れがあるので、僕らが第三者的にカット単位でバサッバサッと切って、(出渕氏に)文句ないですよね、と(笑)」と語っていた。
本作のこだわりについて西井氏は「ヤマトの武器は使いきったと思っています。ロケットアンカーを使えたのはうれしかったです」と説明。また、出渕総監督は艦隊戦ができたことに満足し「共闘すること(多対多)が今回のテーマでもあるんです。一対多の戦いは結構力技のアイデアが必要なので」と振り返った。
Blu-rayにはオーディオコメンタリーについて中村は「自分が持っている視点を皆さんと共有できたり、小野さんが2年8カ月作品に関わってきたことによる深い部分を聞けたりしました」とコメント。出渕総監督は「オーディオコメンタリーはダベリになりがちなので、スタッフのオーディオコメンタリーでは『ここからここの絵コンテは誰』と言うようにしました。庵野秀明が担当している2カットも話しています」と聞きどころを語っていた。
最後のあいさつでは、中村は「劇場で見てくださった方も、Blu-rayの画質でさらにに良くなったところがたくさんあるので、Blu-rayでヤマトの世界にじっくりとひたってください」とアピール。そして、西井氏は「手を入れられる所は手を入れて、何回も見た人にも違いを感じてもらえるものになったと思います」、別所氏は「映画の時に押さえきれなかった作画や、表情の部分をかなり直しています。何度も見てもらえればと思います」とそれぞれに語り、最後は出渕総監督が「上映では至らないところもあって、総作監の結城くんがかなり手を入れてくれています。撮影のし直しも含めて、気づかないところまでこだわっていくのがこちらの仕事なので、楽しんでもらえたら幸いです」と締めくくっていた。
『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』Blu-ray&DVDは5月27日発売。