予測候補に絵文字と顔文字
Google日本語入力がアップデートされました。大きな改良はありませんが、細かい点でいくつか改良されています。1つは、特定の単語を確定させたあとの予測候補として絵文字や顔文字が出るようになった点です。変換候補として絵文字を出すことは、以前のバージョンから行われています。今回の改良は、「うれしい(>ω<)」のように、日本語表記と顔文字、絵文字をくみあわせる場合に対応するものです。
「あめ」と入力すれば変換候補には絵文字がでる。これは前のバージョンでも可能だった |
しかし、「あめ」で確定させた直後の予測変換でも傘の絵文字が候補に出る。この機能を買えば、単語と対応する絵文字を組み合わせることが可能だ |
絵文字は、日本では携帯電話の頃からポピュラーな存在でしたが、ユニコードなどに取り入れられ、システムやブラウザなどが対応したことでインターネットなどで普通に使える「文字」になり、最近では、SNSなどでも利用されているのを見かけます。また、Windowsなども含め、色を使ったフォントへの対応が進み、カラーの絵文字が利用できる環境が広がっています。モノクロの絵文字もまあ、味があるといえばそうなのですが、わかりにくいものもありました。
絵文字を子供っぽいと考える人もいるようですが、漢字やひらがな、カタカナでは表現できないニュアンスを伝えるものとして利用することができるため、ある種の利便性も備えています。実際、インターネットでは絵文字が使えない時代に、「:-)」のように「冗談」、「怒っているわけではない」といったニュアンスを伝えるために記号的に文字を組み合わせる使い方がありました。文字だけでは、真意が伝わらない場合もあるのです。そういうわけで、そうそう、バカにしたものでもないと筆者は考えています。
ですが、10代の少年少女ならともかく、絵文字だけの文章とかをいい歳をしたオッサン、オバサンが送るのは少しはばかられます。なので、基本的には文字を補助するような使い方になるのではないかと考えれらます。今回の予測候補では、こうした使い方を想定しているのだと思われますが、残念なことにすべての表記には対応していません。例としてあげられている「うれしい」を確定させたあと予測候補として顔文字が出るものもの平仮名表記の場合のみで「嬉しい」や「ウレシイ」で確定させると、予測候補に顔文字はでてくれません。
おそらく、前回の確定文字列を保存しておいて、それを読み仮名として絵文字や顔文字を検索しているのだと思われます。確定した漢字からの推測だと、漢字表記から絵文字、顔文字を検索可能な辞書を別に持つ必要があります。単純に前回の読み仮名入力を保存して絵文字、顔文字を検索したとしても、確定させた表記が絵文字とは関係ない場合もでてきます。たとえば、「あめ」と入力して「天」と漢字変換させた場合や推測候補で「アメリカ」などが選択される可能性があるため、読み仮名と確定文字列の両方を見なければ適切な絵文字、顔文字を推測候補として出すことはできません。おそらくは、そういう理由で、特定の文字列の場合のみ絵文字顔文字を推測候補として出すことになっているのだと思われます。
このほか数字入力を時間や日付(たとえば1211で12月11日や12時11分など)に変換もできます。ただ、こうした機能は、Google日本語変換が初めてというわけではなく、PC用のIMEでは以前からある機能です。アンドロイド用ではOEM向けにのみ提供されているFSKARENなどのサードパーティ日本語IMEなども対応している機能です。
ある意味、スマートフォンやタブレット用のIMEは、Windows用のIMEという「先行者」がいるため、これを追っている状態です。PCを使い慣れたユーザーからすると、少し長めの文章を入力する場合、IMEの変換は、ストレスの原因でもあります。
数式計算
もう1つの改良点は、電卓のような四則計算機能です。数式を「=」まで入力すると、予測変換候補として、演算結果が表示されます。たんなる演算結果だけでなく、数式部分を含んだものも候補となります。
ただ、残念なことに対応しているのは四則演算だけのようです。三角関数のような高等関数には対応していないようです。Google日本語入力では、Lollipop対応(マテリアルデザイン対応)になったバージョンで、日本語入力(ローマ字入力)から数字入力に切り替えると、配列がテンキーになり、四則演算子(+、-、*、/、=など)のキーも表示されるようになりました。このときには、単なる配列の変更かと思われましたが、計算式の入力をするためだったようです。ちょっとした計算ならこれでなんとかなりそうです。また、この機能のため、日本語入力中でも、数字や記号類は半角が初期状態となり、変換候補の選択で全角文字(漢数字などにも変換可能)にします。
Ver.1のGoogle日本語入力では、数字はテンキー配列になっても、四則演算子の入力は面倒だった |
Ver.2のGoogle日本語入力では、ローマ字入力時に数字記号モードに入ると、このようにテンキー配列と四則演算記号が入力できるレイアウトになっている |
筆者は、のちの検索などを考えて、数字やアルファベットは原則半角入力にしています。世の中には、全角のアラビア数字やアルファベットを平気で文書に入れる人がいます。なかには、URLさえ全角アルファベットにしているモノさえ見かけます。個人での利用なら文句の言い様はありませんが、それをWebページとして公開したり、他人に送るというのは、あまり関心できません。
そもそも、全角の数字やアルファベットの並びは、みたときに間隔が空きすぎて不自然です。紙の出版物でも、数字とアルファベットは、漢字(およびひらがな、カタカナ)とは文字幅も送り(文字と文字の間隔)も変えるのが普通です。そのほうが読みやすいからです。今回の改良で、半角数字の入力に関しては以前よりもラクになったといえます。
ただし、アルファベット入力では、数字入力に切り替えてもQwerty配列に準拠したレイアウト(数字が最上位列に横に並ぶ)になり、四則演算子を入力するにはシフトキーで表示モードをさらに切り替える必要があります。ですが、Google日本語入力では、Quertyレイアウトで最上段のアルファベットをタッチしたまま上に指をずらすと、再タッチする必要なく数字を入力できます。このため、英語入力では記号を入力するときのみキーボードを数字/記号モードに切り替えればよくなりました。
日本国内で発売されたアンドロイドには、標準の日本語キーボードとしてiWnn IMEやサードパーティのIMEが標準でインストールされていることがあります。それぞれに特徴がありますが、筆者は、入力モードの切り替え方法がポイントだと思っています。
Google日本語入力では、大きく「ローマ字入力」と「アルファベット入力」モードを切り替え、それぞれから直接数字/記号入力へ切り替えを行います。また、前述のようにキーにタッチして指を動かして数字の入力も可能です。
これに対して、iWnn IMEでは、「ローマ字入力」、「アルファベット入力」、「数字入力」の3つのモードを順次切り替えていく方式です。この方式では、Google 日本語入力と違って、アルファベット入力モードから日本語入力モードに切り替えるのに一旦数字入力モードを経由せねばならず、キーストロークが1つ多くなります。反面、キーが1つ少なくて済むため、キーボードの最下段に余裕が出ます。また、iWnn IMEでもQwerty配列で最上段のキーを長押しすると数字を候補としてくれるのですが、再度タッチして入力する方法になっています。最近の流行は、フリック入力のように長押しやスライド操作で違う文字候補を表示させてそのまま指を離すと確定するものです。操作する時間はあまりかわらないようですが、2回のタッチは、面倒な印象を受けます。Windows 8も当初は長押しで候補を表示して、再タッチで確定していましたが、現在では、そのまま指をすべらせて確定できるようになりました。
個人的にいうと、さまざまなプラットフォームで別々のやり方になっていると、使うときに頭を切り換える必要があるので、かなりストレスがあります。「パクった」、「パクられた」という話もありますが、キーボードのような基本的な操作性は、流行を追って欲しいものです。
インターネットでの利用では、比較的アルファベットの入力が多いために、「アルファベット入力」と「ローマ字入力」は簡単に切り替えられるほうが有利だと筆者は考えています。また、記号の入力頻度は低く、逆に多少ストロークは増えてしまっても、ローマ字入力とアルファベット入力は簡単に切り替えられるほうがいいでしょう。逆に、数字の次に頻度が高い、半角アルファベット記号(#など)は、数字入力と同程度の手間で入力できるほうがよく、これを絵文字や2バイトコードの記号類(ギリシャ文字や学術記号など)などと同等のレベルで入力させるのはあまり関心しません。世の中には、スマートフォンやタブレットでこうした記号を多用するような複雑な文章を書く人もいるのでしょうが、多くの人は、メールやちょっとしたメモではないかと思われます。
日本語入力IMEは、選択に迷うほど多数あわるけでもありませんが、メーカー独自のIMEなどもあって、ユーザーには選択肢があります。文字入力効率や利用時のストレスに影響が大きいため、たまには、他のIMEも使って見る必要はありそうです。