「キンタマーニ」という高原がインドネシアにあることをご存知だろうか。バリ島にあるその高原は標高約1,500mで、リゾート地として多くの観光客に親しまれている。そのキンタマーニを模した大盛りライスを提供するスープカレー専門店があると聞き、早速尋ねてみた。

これが噂の重量1kg超えのライス「キンタマーニ」と「スープカレー(チキン)」だ!

「アジアンバーラマイ」は、札幌に本店があるスープカレー専門店。北海道各地のほか、大阪や横浜などにも展開している。今回筆者が訪れたのは、JR・地下鉄の関内駅から徒歩約5分の場所にある横浜伊勢佐木モール店(神奈川・横浜)である。

そびえ立つキンタマーニに言葉を失う

こちらのスープカレーは、レギュラーサイズが1,000円~。ライスをキンタマーニにするとプラス200円となる。もちろんここは、「スープカレーをキンタマーニで! 」だ。

まず、テーブルの上に置かれたのは、そびえ立つ巨大なライスの山・キンタマーニである。その重量は1kgを超え、サイズを測ってみると、直径は約15cm、高さはなんと約20cm! 500mlペットボトルに匹敵する高さだ。

キンタマーニと500mlペットボトルを並べると、その高さが分かるだろう

間近で見ると、通常のライスとは異なりほんのり黄色い。「ライスは、インドネシア語で黄色(クーニン)とご飯(ナシ)を意味する『ナシクーニン』です。スパイスのほかに、ココナッツの風味も効かせています」と店長の佐々木健太郎さんは説明する。

キンタマーニという名称は前述の通り、インドネシア・バリ島にある高原から来ている。味で満足してもらうのはもちろん、見た目から楽しんで食事をしてもらいたいという思いから、1号店である札幌本店のオープン時より提供しているメニューだという。

円すい状に盛られたライスは、スプーンで形を崩すのがもったいないほど美しい。頂点から食べ始めるか、中腹から行くか迷うところだが、今回は頂点から攻めてみることに。ライスを一口。スパイスを用いてココナッツ風味に仕上げているということだったが、全くクセがない。加えて日本の米を使っているため、食感はもっちりしている。

キンタマーニは中腹から攻めるか頂点から攻めるか、そんなことを考えるのも楽しい

カレーは生唐辛子版も可能

続いてスープカレーが登場。野菜やチキン、ポークなど様々なスープカレーが用意されている中、今回筆者は一番人気のチキンを注文した。一般的にカレーでは乾燥した唐辛子を用いることが多いようだが、同店ではフレッシュな生唐辛子を使ったスープカレーもオプション(プラス50円~)で用意している。そこで筆者も生唐辛子版をチョイス。辛さは同店では辛口に当たる「プダス」を注文した。

続いて、熱々のスープカレー(チキン)が登場!

スープカレーを一口すくう。とろみもなくサラサラだ。口に含むと、意外にもさほど辛さは感じられず、最初に深みのあるチキンの風味が広がる。次にライスをカレースープに沈めてから食べると、サラサラした口当たりでとても食べやすい。

カレースープは辛さだけが主張するとんがった味わいではなく、かといって物足りないわけでもない。しっかりとしたコクの中にピリッとした辛さがアクセントになっていて、キンタマーニをぐいぐい崩す勢いでライスが進む。

……と、「さほど辛さは感じられず」と調子に乗っていた筆者だが、次第に舌がビリビリとしびれてきた。そんな時にうれしいのがたっぷりの野菜だ。ゆでたニンジンと素揚げしたカボチャ、それにインゲンやピーマン、ナス、アスパラ、レンコン、キャベツなどがそろう。

カボチャの甘みに加え、クタッと柔らかく煮込まれたキャベツの甘みもポイントだ。うずら卵のほっこり感にも癒やされる。また、時々フッと鼻に新鮮なスパイスの香りが抜けていく。これが生唐辛子の刺激なのだろう。香りと辛さが絡み合い、味に"立体感"が出ている。

彩り豊かな野菜がたっぷり!

チキンレッグの力も借りて登頂を狙う!

野菜を全部食べ終わった頃、下から大きなチキンが現れた。一口サイズの鶏肉を想像していたが、現れたのは骨付きの大きなチキンレッグ! スプーンでほろほろと崩れるほど柔らかく煮込まれたチキンは、スープカレーとの相性も抜群だ。ほろほろチキンの助けもあって、完食という名の"キンタマーニ登頂"が見えてきた!

……と思ったところで、雲行きがあやしくなってきた。崩れることなくみっちりと詰まったライスは、思ったよりもヘビーなのである。五合目付近で、頼みの綱のカレースープがなくなってしまったのだ。

五合目付近。ここまでは順調だったのだが……

「スープは大盛無料、大盛りの上のサイズ『アンプーン』(プラス100円)もオーダーできますよ」と佐々木店長。"登頂"の秘訣はライスとカレースープのバランスにもありそうだ。なお、食べ残しても罰金はないが、持ち帰りは不可となっている。食べきれる自信がある人のみ挑戦していただきたい。

佐々木店長によると、横浜伊勢佐木モール店ではキンタマーニを注文した8割以上の人が"登頂"にいたるという。料理のボリュームのことを理解している常連からの注文が多いよう。「辛さはお客様の好みに合わせて調整しますので、多くの方に来ていただきたいですね」と佐々木店長。インドネシアではなくここ横浜で、遥かなるキンタマーニがあなたに"登頂"されることを待っている。

店舗外観。店内はあちこちにバリ島の調度品が配置されている

※記事中の情報・価格は2015年03月取材時のもの。価格は税込

筆者プロフィール: 麦原 ケイ(むぎはら けい)

猫とビールと唐揚げとコーヒーが好きな神奈川県・横浜在住の主婦ライター。所属する「ベル・エキップ」は、取材、執筆、撮影、翻訳(仏語、英語)、プログラム企画開発を行うライティング・チーム。ニュースリリースやグルメ記事を中心に、月約300本以上の記事を手がける。拠点は東京、大阪、神戸、横浜、茨城、大分にあり拡大中。メンバーによる書籍、ムック、雑誌記事も多数。