前回、日本女性の労働力率における「M字カーブ」の説明、さらには、出産後に育休を経て職場復帰をしたケースと、結婚後に退職してその後パートとして働き出したケースでの生涯所得を比較しました。結婚や出産後の生き方に関して、「とりあえず仕事を辞めてから考えよう」とするのは少々勇気がいるのでは? と締めくくりました。
とはいえ、待機児童の問題がなかなか解消されず、保育園に入りたくても入れない世帯が多い現状では、「一度退職して、子どもが幼稚園に入ったら復職しよう」と考える人も少なくないでしょう。このように働くことを前提とする場合、保育園と幼稚園の違いを十分に理解しておかないと心配です。
幼稚園に行ったら仕事…はできる?
働いている保護者に代わって保育する「就労支援」という側面を持つ保育園とは違い、子どもの教育施設である幼稚園の基本的な保育時間は1日4時間程度。毎日だいたい14時頃にお迎えとなります。よって、幼稚園に預けて復職を目指す場合は、通常のお迎え時間以降も子どもを預かってくれる「預かり保育」が充実している園でなければ難しいでしょう。また、平日の日中に保護者参加の集まりがあるなど、思うように働く時間が確保できない可能性もあります。
このように、いったん退職して子どもが幼稚園に入ったら復職というパターンを目指す場合でも、働く親への理解がある園かどうか確認するのはもちろん、実際に共働き世帯が多い園なのかも見極めておきたいもの。特に、フルタイムでの復職を希望する場合は、いざ復職しようとしても、幼稚園の関係で働ける時間が十分に取れずパート勤務を選択せざるをえない! なんてことも考えられますので、しっかり調べておくべきでしょう。
退職すると、フルタイム復帰は難しい?
こうやって見てくると、いったん退職した人が復職するタイミングを考えるのも結構大変な話で、その結果として、前編で見た「出産を機会に退職し、その後子どもが6歳になるまで専業主婦を経たのちパートとして復職(C)」というケースも頷けるのではないでしょうか。
もちろん、フルタイムや正社員として働く、パート・アルバイトで働く、専業主婦など、何が最適かは人によって異なります。色々な選択肢の中から自分で納得のいくスタイルをチョイスできるのが一番です。その上で、一つ付け加える事があるとすれば……読者のみなさんが将来的にいつまで働くか(働きたいか)が今は分からなかったとしても、「働くなら今みたいな仕事、もしくは今以上の仕事がいいな」とぼんやりとでも思っているとしたら、結婚や出産に際してもなるべく離職を避ける方法を選んだ方が、将来的な選択肢が広がるのではないでしょうか。
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著者プロフィール
株式会社ここるく 代表取締役 山下真実
わが子を大切するために、ママが自分自身を大切にする子育てスタイルを提案し、人気のレストランが託児付きで楽しめるサービス「ここるく」を起業。保活の情報、子育てと仕事の両立アドバイスなど「実践的で分かりやすい」と雑誌等でも監修多数。
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