春からの新生活に向けて、見直したいもののひとつが自宅のインターネット環境だ。自宅でパソコンやタブレットなどを利用する際には欠かせないインターネットだが、光ファイバーなどの固定回線は、開通までに1カ月程度かかる場合があることがデメリットだ。そこで注目したいのが、自宅の固定回線代わりとして使えて、なおかつ外出先でも利用できるモバイルルーターだ。
最近では、LTE-AdvancedやWiMAX 2+といった最新のネットワークに対応し、通信速度の理論値が下り最大200Mbpsを超えるモバイルルーターも登場しており、固定回線の代替としても有力な選択肢と言える。そこで本稿では、各社が提供するモバイルルーターの最新機種について比較検討してみたい。
各社の最新モバイルルーターを比較
本稿で取り上げるモバイルルーターは、NTTドコモの「Wi-Fi STATION HW-02G」、UQ WiMAX(ワイマックス)の「Speed Wi-Fi NEXT WX01」、ワイモバイルの「Pocket WiFi 305ZT」の3機種。「キャリアアグリゲーション(CA)」または「4×4 MIMO」という最新の高速化技術に対応した端末となっている。
3社のモバイルルーター最新機種を比較 ※拡大画像はこちら |
まず、ドコモが提供する「Wi-Fi STATION HW-02G」(ファーウェイ製)は、同社が3月27日より「PREMIUM 4G」として提供開始したLTE-Advandedに対応するモバイルルーター。LTE-Advancedの主要技術のひとつであるキャリアアグリゲーションにより、下り最大225Mbpsという通信速度を実現しているのが特徴。ただし、下り最大225Mbpsに対応するエリアは一部に限られるので注意が必要だ。
次に取り上げるのは、UQ WiMAXが3月5日に発売した最新モバイルルーター「Speed Wi-Fi NEXT WX01」(NECプラットフォームズ製)。同端末では、4×4 MIMO技術に対応し、下り最大220Mbpsを実現。通信方式としては、同社が提供するWiMAX 2+、WiMAXに対応している。
同モバイルルーターでは、従来、下り最大110MbpsであったWiMAX 2+の利用エリアにおいて、下り最大220Mbpsの通信が実現する。下り220Mbpsに対応するWiMAX 2+エリアは全国に広がっており、他社の下り200Mbps級サービスと比べても利用エリアが広いことが特長だ。
ワイモバイルが提供する「Pocket WiFi 305ZT」は、ソフトバンクとワイモバイルのLTEによる「SoftBank 4G LTE」と、AXGP方式の「SoftBank 4G」を組み合わせた高速通信サービス「Hybrid 4G LTE」に対応したモバイルルーター。通信速度は、AXGPが下り最大165Mbps、LTEが下り最大112.5Mbpsとなっている。
同端末は2014年10月の発売であり、最新機種としては比較的古いが、キャリアアグリゲーションにより、下り最大165Mbpsを実現しているのが特徴だ。ただし、下り最大165Mbpsに対応するエリアは、現在は東名阪などの一部の地域に限られている。
料金プランではWiMAXのみ"使い放題"プランを用意
各社モバイルルーターの料金プランでは、UQ WiMAXが「ギガ放題」という使い放題プランを用意していることが大きな違いだ。ワイモバイルでは月間7GBという通信量の上限を設けているほか、ドコモでは通信量ごとのプランを提供しており、月間通信量を超過すると速度制限が行われる。それに対し、ギガ放題では、月間通信量の制限がなく、WiMAX 2+/WiMAXが使い放題となっている。
なお、ワイモバイルではキャンペーンにより、7GB超過後の速度制限を解除する料金(500MB毎に500円)が2年間無料になっている。ただし、超過後、500MB毎に速度制限を解除する手続きが都度必要である点は面倒であり、"使い放題"とはややイメージが異なると言える。
WiMAXのモバイルルーターは最薄・最軽量で長時間駆動
各端末のスペックを比べてみると、最も軽量なモバイルルーターはUQ WiMAXのSpeed Wi-Fi NEXT WX01で、重量は97g。さらに、同端末は厚さも9mmで最薄となっている。なお、ドコモのWi-Fi STATION HW-02Gは、重量110g/厚さ14.3mm、ワイモバイルのPocket WiFi 305ZTは、重量150g/厚さ13.9mm。
外に持ち歩くことを考えれば、モバイルルーターは軽量で薄型が望ましいが、とはいえ連続通信時間などのバッテリーの持ち時間も気になるところだ。しかし、Speed Wi-Fi NEXT WX01は、最薄・最軽量ながら最大連続通信時間は11.3時間(WiMAX通信時)で、ドコモやワイモバイルの端末よりも長時間利用が可能となっている。また、Speed Wi-Fi NEXT WX01の専用アプリを利用すれば、リモート操作で同端末を休止状態から復帰させることができ、バッテリーを節約しながら便利に使えるのも特長だ。
また、自宅などでモバイルルーターを利用する際に便利なのが、端末を設置して充電しながら通信できるクレードルだ。ドコモとUQ WiMAXの端末はクレードルに対応しており、クレードルに搭載されたLANポートを使って有線LAN接続が可能。一方、ワイモバイルの端末にはクレードルが用意されていない。
外出先と自宅、両方の利便性を考えると、薄型・軽量で持ち歩きやすく、なおかつクレードルに対応していてホームルーターとしても使えるUQ WiMAXのSpeed Wi-Fi NEXT WX01が最も優位と言えそうだ。
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本稿では、ドコモ、UQ WiMAX、ワイモバイルの3社の最新モバイルルーターを比較してきた。3機種ともキャリアアグリゲーションまたは4×4 MIMOといった最新の技術で高速化を実現した端末となるが、モバイルルーターを選ぶ際に重視したいのは、実際に自身が生活するエリアで高速通信が利用できるかどうかだ。
その点、4×4 MIMO技術を採用することで、すでにWiMAX 2+エリアのほとんどで下り最大220Mbpsを実現しているUQ WiMAXの「Speed Wi-Fi NEXT WX01」は、もっとも使い勝手が良さそうだ。また、同端末は薄型・軽量で外出先にも持ち歩きやすいほか、クレードルに対応しているため自宅でも使いやすい。
同社の料金プランでは、月間通信量の制限がない使い放題プランを選択することが可能。自宅の固定回線の代わりとして、さらに持ち歩いてモバイルルーターをフル活用したいのであれば、Speed Wi-Fi NEXT WX01が最有力と言えるだろう。