私たちにとって写真は記録であり、表現であり、日々の癒しやエンターテインメントでもあり、スマートフォンが普及した現在ではコミュニケーションでもあり得ます。前回ご紹介した『Poin』では、写真を使って趣味や好きなモノ・コトで繋がるコミュニケーションが生まれています。どんな人がどんなふうに使っているのか、二組のユーザーさんにお話を伺いました。
Poinと出会って生活が変わった
ナギトトさん・なあたんさんご夫婦は、お二人ともPoinユーザー。それぞれ人気のブックを持ち、多数のユーザーにフォローされています。最初にPoinを使い始めたのは旦那さんのナギトトさん。昨年2月、それまで使っていた携帯電話が壊れたことをきっかけにiPhone 5Sに機種変更し、せっかくならアプリも使ってみようとApp Storeを探すうちに、目に留まったのが肉球のアイコン。試しに使ってみたところ、写真を載せるだけでなく日記のように使えることに魅力を感じ、投稿を始めてみたそうです。
当初はデジタルカメラで撮った写真も掲載していましたが、現在はほぼ全てiPhoneで撮影したものだそうです。もともと写真が趣味で25年以上も撮り続けているだけに、写真にはこだわりがあるナギトトさん。非常にクォリティの高い写真ばかりで、iPhoneでここまで撮れるのかと驚かされます。
ナギトトさん 「それは私が一番驚いています。プロ指向のカメラは一眼レフでもコンパクトでも、露出を調整しないと思ったような写真が撮れない。でもiPhoneは向けるとすぐに自分の撮りたい露出になってくれます。ピントも良くて、本当に頼れます」
しばらくして、ナギトトさんに勧めらる形でなあたんさんも使い始めました。当初、写真にそれほど興味はなかったものの、勧められたことをきっかけに飼い猫・渚の写真を撮り始めたところ、徐々に楽しくなっていき、空や花など毎日のように撮っては投稿する生活に変わったそうです。
なあたんさん 「他に趣味もなくて家にこもりがちだった中に、楽しみができました。夜明けが待ち遠しくて陽が昇ると洗濯物を放り出して写真を撮ったり。こんなに変わるとは思いませんでした」
完全にインドア派だったというなあたんさんですが、現在はPoinで知り合った方とオフ会をしたり、旅行を企画するなど、「自分がびっくり」というほど生活が変わったと話してくれました。
Poinから始まった新しい出会い
そんなお二人に大きな出会いが訪れたのは、昨年の6月。動物病院の前に捨てられていた子猫・チャコを保護していた動物看護士さんとPoin上で話すうちに、お二人が引き取ることになったのです。Poinでその猫を見てチャコと名付けたのは、じつはなあたんさんでした。この経緯を知るフォロワーも多く、なあたんさんは報告の意味も込めて専用のブックでチャコの成長記録を綴り始めました。
なあたんさん 「チャコちゃんは明るい性格で、毎日面白いことをしてくれるので、写真には事欠かないですね。(フォロワーの)みなさんが優しい言葉をたくさんかけてくれて、読んでいると涙がでるくらい嬉しいです」
それ以前からお二人の家には里親として引き取った2匹の猫・渚とトトが居ました。チャコを加えたナギトトさん宅の"三姉妹"は、猫好きフォロワーの間で人気になり、三姉妹の写真を載せたブックはPoinの2014年人気ランキングで2位に入りました。
つながりと自分らしさと
ナギトトさんといえば参加型ブック『Photographic Ladyland』でも有名な方。Poinで感性の高い作品が多く目に留まり、刺激を受けるのと同時にコレボレーションしたい思ったことをきっかけにブックを始めたそうです。
ナギトトさん 「こんなに反響があるとは思いませんでした。みんな写真が好きで、目が肥えているから、良い写真にはちゃんと反応があるんです。見る目あるんだなと。それが一番嬉しいです。だから、私がアップする時もプレッシャーかかりますね(笑)」
現時点でフォロワー700人を超え、昨年の参加型ブックランキングでも3位に入る人気のブックになりました。美しい写真が投稿されるだけでなく、ナギトトさんの丁寧なコメントや返信にもファンが多く、そこからフォロワー同士のつながりが生まれる場にもなっています。
ひとりのユーザーさんの呼びかけから大きなエールの輪が生まれ、公式のFacebookでも紹介されました |
なあたんさん 「言葉を選んで、人を傷つけない。写真はそういうものでありたい。いろんなことがある世の中だけど、せめてPoinの中だけは平和であってほしい。だから猫が一番平和かなって(笑)。それがいま一番の楽しみです」
Instagramから始めた活動
mamotoramanさんとchan_tさんは、『乗るオヤジ NORU OYAJI』の写真で人気のインスタグラマー。もともとInstagramで何か変わったことをやりたいと、家に置いてあったママチャリを持ち出し、mamotoramanさんが乗りchan_tさんや仲間のユーザーさんが撮影する形で始めたのが3年ほど前のこと。空中を漕いでいるような不思議な浮遊感が印象的な写真です。
mamotoramanさん 「Instagramで神的存在だったハルノさん・ワカメラさん(=ふさふさ部)の『浮遊おじさん』を見て、ひとつ流れがあったほうがいいと思い特徴を出そうとしたんですけど、なかなか伸びませんでした」
100Likeくらいが壁になっていた頃、Instagram本家の"9分割"でフィーチャーされ、その後おすすめユーザーに入ったり、インスタグラムジャパンでピックアップされたことでフォロワーが増え、現在は1枚の写真に1400~1500Likeほど付くようになったそうです。
『乗るオヤジ』の舞台裏
独特の空間を感じる写真はどのように撮影されているのでしょうか。何人かの撮影者がいて、それぞれにやり方が異なるそうですが、chan_tさんの場合は特に事前にプランを用意するわけではないとのこと。
chan_tさん 「場所を決めて作り込んで撮る人もいますが、僕の場合は一緒に歩いて見て回り、ここと決めたらパッと撮って終わりです。狙っていくとなかなか撮れないんですよ」
mamotoramanさん 「たまたま通りがかった時にたまたま何かがおこって、いい写真になることもあるんですよ。そういう時はけっこう満足だよね」
自由に、決め事なく、そして人の少ない朝早くに撮るのが極意だとのこと。ウィリー(前輪を上げる)やジャックナイフ(後輪を上げる)をしているのに、普通に前に走っているように見えるのは、mamotoramanさんのテクニックによるもの。もともとバイクのトライアル競技で全日本選手権に出るほどの腕前です。
mamotoramanさん 「普通にウィリーすると前かがみになるのですが、そこは完全に我慢しています。普通の姿勢が不思議な感じに見えることが、多分絵になるんです。なぜか始めからそうしていました」
撮影はデジタルカメラも使いますが、iPhoneで撮ることも多いそう。動画を撮る場合は必ずiPhoneを使っていて、特に手振れ補正の性能は「ハンパないです」(chan_tさん)と絶賛でした。
Poinは「好きなものを好きなように」
そんなお二人がPoinを使い始めたのは2013年の年末頃。少し後になって、仲間のユーザーさんが『乗るオヤジ』のブックを作りました。招待制の参加型ブックとして『乗るオヤジ』を撮影する仲間で共有されています。現在ではフォロワー数1300を超える人気のブックに。ここにはInstagramと同じ写真を載せることもありますが、使い分けもしているそうです。
chan_tさん 「僕としては文章を書けるところが一番違います。裏話を長々と書いてもいいし、写真一発で終わらせてもいい。ボツにした写真の中にも面白いものがあるので、それを載せることもあります。ひとつのブックにみんなで投稿できるのも面白いところです」
mamotoramanさん 「Poinのほうは自由にやっている感じですね。Instagramはちょっと違う路線にするとフォロワーが減ったりするので、作り込んで出しています。Poinのほうは好きなものを好きなようにポストしていく、という使い分けをしています」
chan_tさんのブック「Vintage」。文章を読むと一つひとつのモノへのこだわりが伝わってきます |
mamotoramanさんのブック「壁。」。お兄さんが「#ザ壁部」の部長で、mamotoramanさんも壁を"狩って"います |
撮影を続けるうちに自転車にもだいぶ傷みが見え始めたそうですが、メンテナンスをしながら走れる限り撮り続けたいというお二人。iPhoneのカメラでは暗い場所でもきれいに撮れるので、次は夜景撮影にも挑戦したいとのお話しでした。
スマートフォンの利用者が増え、写真のシェアが当たり前になっている現在ですが、Poinではそこに「興味・関心」「コミュニティ」「独自のスタイル」「文章」などの要素が加わり、新しいつながりや楽しみが生まれています。様々なユーザーさんの楽しみ方を、Poinで見つけてみてください。