長い冬が終わり、今年も桜の季節がやってきた。会社では4月から新年度がスタートするが、家庭を守る母親の中にも"新年度の目標"を定めて気持ちを新たにしている人は少なくないのではないだろうか。不況が長引いていることもあり、家計における「節約」は今年も大きなテーマとなりそうだ。
ネオマーケティングが子どもを持つ母親を対象に行った調査によれば、小・中学生の子どもが携帯電話を所有する比率が高まる一方で、「子どもの持つ携帯電話の通信費」に悩むケースも増えているという。調査の対象となったのは、6歳~15歳の第1子をもつ全国の20歳以上の母親1200名。調査期間は2015年3月17日、18日の2日間。
調査結果は次の通り。世帯における支出金額を聞いたところ「食費(外食費含む)」は「50,000円以上」(32.0%)、「通信費」は「10,000円~20,000円未満」(48.6%)、「被服費」は「5,000円未満」(37.2%)、「教育費」は「10,000円~20,000円未満」(25.6%)だった。10,000円以上の支出の割合が高い項目は「食費(外食費含む)」(92.5%)、「通信費」(73.9%)の順になっている。スマートフォンの普及により「通信費」が「食費」の次に大きな支出となっているようだ。
小学生の3人に1人が携帯電話を保有している
次に、支出金額の"理想"と"現実"を聞いた。10,000円以上の支出がある項目に注目すると、そのギャップが1番大きかったのは「通信費」。通信費に10,000円以上支出することを理想とする人は47.1%にとどまったのに対して、現実には73.9%もの人が通信費に10,000円以上を支出しており、26.8ポイントのギャップとなっている。「通信費」の理想として最も多かった回答は「5,000円~10,000円未満」(39.8%)で、現実で最も多かった「10,000円~20,000円」(48.6%)と比べて5,000円~10,000円の開きがあることが分かった。通信費が家計を圧迫している、と思う人の割合が大きいということになる。
続いて、子どもに携帯電話を初めて買い与えた学齢を聞いたところ、最も多い回答は「小学1年生の時」(17.7%)で、次いで「中学1年生の時」(17.5%)となった。小・中学校ともに、入学するタイミングで買い与える家庭が多いようだ。なお、未就学児と小学1年生~6年生までを合計すると69.8%となり、約7割の家庭が中学校に進学するまでに携帯電話を買い与えていることが分かった。
ちなみに内閣府が発表している「平成25年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」でも、青少年の携帯電話・スマートフォンの所有率が年々増え続けていることが分かる。
さらに子どもに携帯電話を持たせていない母親に、持たせたい・持たせたくない、それぞれの理由を聞いた。「持たせたい」理由の第1位は「緊急時に連絡がとれるように」(83.3%)、次いで「塾等からの帰宅時間を連絡させるため」(25.5%)となった。一方で「持たせたくない」理由の第1位は「利用料金が負担になるから」(63.7%)で、家計の負担になることを懸念している様子がうかがえる。
このほか、節約状況について聞いたところ、「節約している」と回答した人が最も多い項目は「食費(外食費含む)」で64.6%。「食費」は、大きな節約の対象となっている。一方で「節約したいが方法が分からない」と回答した人が最も多い項目は「通信費」(46.5%)だった。家族1人1人が保有している携帯電話だが、その通信費に関して節約の方法が分からない、という人が多いようだ。
今後最も節約をしたいと思うものを聞いたところ、最も多かった回答は「通信費」(34.5%)だった。前問で「節約したいが方法が分からない」でトップだった「通信費」は、節約の対象としたい人の割合が多いことが分かった。子どもの携帯電話の保有率が増えるなど、家計の支出金額が増え続けている「通信費」。今後、節約の成功の鍵を握る大きなポイントとなりそうだ。
専門家のアドバイスは?
ネオマーケティングでは、同調査の結果について、節約アドバイザーの和田由貴(わだゆうき)氏に話を聞いている。
和田氏によると、スマートフォンの普及により固定費である通信費は負担増の傾向にあり、家計の中での悩みの種となっているという。一方で、「漠然と通信費を節約したいと思いながら、実際にはどうしたら良いかわからずそのままという人がほとんど」だそうだ。その理由として「通信費は契約内容などをよく調べて理解する必要があり、食費などの変動費節約のように一朝一夕にはいかないため」としている。
また「少し前までは、契約プランをこまめに見直す、キャリアを乗り換えるといったことが、携帯電話の料金を節約する方法の王道」だったが、最近は各キャリアとも長期利用者への割引、家族で同一キャリアを持つことによる無料通話、固定回線サービスとのセット割引など、サービスを手厚くしているという。この各キャリアの動きについて、「パイの奪い合いから、長く利用してくれる優良なユーザーの優遇へとシフトしていると言える」としている。
このような状況に対し、和田氏は家計を節約するために掛かる労力とその対価として節約できるコストを「節約コスパ」と定義。家族で携帯電話の契約を見直すことは、「高い節約コスパが期待できる手段」として、「個々でバラバラな契約をせずに、家族全員で同一キャリアを継続して保有すること、また使い続けることが、通信費節約のカギ」とコメントしている。
3社ではソフトバンクが最もお得!?
それでは、どのキャリアで統一するのが一番お得なのだろうか? 実際に考えてみたので紹介しよう。結論としては、ソフトバンクを利用するのがよいだろう。
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社は、ともに「学割」サービスを提供している。 ドコモが「U25応援特割」、KDDIが「auの学割」、ソフトバンクが「家族の学割」という名称で、各社とも25歳以下のユーザーが対象だ。各社キャリアともに「学割に加入できるユーザーを"学生"ではなく"25歳以下"としている点」「ユーザーの家族も同時に割引を受けられる」が最大のポイントだが、それぞれ提供条件・割引内容が異なる。各社の特徴を簡単に比較すると、3年目以降もずっと割引が適用されるうえ、割引金額が最も大きいソフトバンクの学割が優位と言えるだろう。
また、和田氏が言及していた「固定回線サービスの割引」については、ドコモが「ドコモ光パック」、KDDIが「auスマートバリュー」、ソフトバンクが「スマート値引き」を提供している。いずれも、自宅の光回線と携帯電話回線をセットで契約すると割安になるサービスだ。こちらも学割と同様に、それぞれ提供条件・割引内容が異なる。簡単にまとめると、家族数人で利用する場合、割引額が大きくてお得なサービスはKDDIのauスマートバリューと、ソフトバンクのスマート値引き。ドコモ光パックでは割引額まで家族で分けあってしまうため、メリットは小さい。
ネオマーケティングの調査では「節約の方法が分からない」とされていた通信費だが、割引サービスをうまく適用させることで安くなる方法がある。春からの新生活で少しでも節約できるよう、この時期にじっくりと検討することをおすすめしたい。