家庭用・業務用を問わず、PCには当たり前のようにセキュリティ対策ソフトがインストールされているため、セキュリティの脅威に対して大多数のユーザーは「自分は大丈夫」と思っているのではないだろうか。しかし、オンライン詐欺を含め、年々複雑化するサイバー空間における脅威に対し、従来型の対策では不十分といった事態が増えつつある。

そうしたなか、去る3月15日(日)に東京・秋葉原で開催されたイベント「PCを本当に快適にするセキュリティ講座」では、家庭でもすぐに実現可能な強固なセキュリティ環境の構築方法について、識者らによる解説が行われた。本イベントは、セキュリティ分野で豊富な実績を有する純国産トップセキュリティベンダーであるハミングヘッズのエキスパート執筆による書籍刊行を記念して開催されたもので、日曜日にもかかわらず、多数のユーザーが会場に詰めかけた。終日熱い空気に包まれたセミナーの模様をお伝えしよう。

BYODで大事なのはデバイスではなくサービス!

日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員・エバンジェリスト 西脇資哲氏

基調講演に登壇したのは、日本マイクロソフト 業務執行役員・エバンジェリストで、"プレゼンの達人"として知られる西脇資哲氏だ。「BYOD実現!! ワークスタイル革新とセキュリティ上のポイント」を講演テーマに掲げた同氏は、自身のWindowsタブレット端末「Surface Pro 3」そしてiPadなどを壇上で駆使しながら、「Any Dvice」の世界で働き方がどのように変わるのかを体現してみせた。

講演の冒頭で西脇氏は「私はマイクロソフトの人間ですが、実はiPhoneもiPadも含めて様々なデバイスを日常的に使い分けています。そして、これらすべてのデバイスで、ExcelやWord、PowerPointなどのOfficeアプリケーションも使うことができます」と語っている。

つまり、多種多様なデバイスをその時々に合わせて駆使することになる今後の「Any Dvice」時代においては、もはやデバイスの種類というのはさほど重要なファクターではなく、仕事で使うアプリケーションやサービスが「どのデバイスからでも同じように使える」ことこそが必須条件となるのだ。

そのカギとなるクラウドに関するマイクロソフトの解は、同社のクラウド型グループウェアサービス「Office 365」となるが、西脇氏は単に紹介するだけではなく、実際に同サービスを使った働き方のデモンストレーションをSurface Pro 3やiPadを活用して行ってみせた。このデモンストレーションでは、遠隔地にいるスタッフと共同作業を行うといったことも披露されるなど、西脇氏の熱い想いが伝わる内容となった。

一連のデモを終えて西脇氏は、このようにすでに環境が整っていることを背景とし、「これからは"デバイスありき" ではなく、ドキュメントを中心とした考えにシフトさせ、クラウド上で仕事を行うようになるべきなのです」と訴えた。また、クラウドによって人々の暗黙知の活用とインターネットを介した労働力の提供が促進されることになり、結果として労働生産性向上につながるという点を指摘した。さらに、FacebookやTwitter、LINEなどの利便性はビジネスシーンにもインパクトを必ず与えることになると指摘し、今後は新たな価値観のもとに仕事をする必要が出てくるということに触れ、講演を締めくくった。

家庭のネットワーク環境にもUTMは有用

ASUS JAPAN OPビジネス部 プロダクトマネージメント アカウントマネージャー、Tim Ren氏

続く【Session1】では、ハミングヘッズの顧問、石津広也氏が「これまでできなかった防御を可能にする純国産セキュリティ」と題して講演。今回のセミナーの目玉である「DefensePlatform」の仕組みや特徴をわかりやすく解説し、セキュリティ対策のあり方がどう変わり、未知の脅威を無力化するのかを示した(石津氏のセッションは後日詳報を掲載予定)。

また【Session2】には、ASUS JAPAN OPビジネス部 プロダクトマネージメント アカウントマネージャー、Tim Ren氏が登壇。「『DeP』&ASUS無線LANルーターの『AiProtection』でダブルディフェンス」というテーマを掲げた同氏は、ASUSの無線LANルーターが搭載する「AiProtection」機能とその使用方法を紹介した。

プラムシステムズ ITソリューション開発部 ネットワークソリューショングループ チーフエンジニア 綱島道郎氏

「AiProtection」機能は、「予防」と「保護」、そして「対策」の3つのカテゴリの機能で構成されており、無線LANルーターによるネットワークの安全性チェックやセキュリティ向上方法の提案、外部からの不正アクセスの遮断、そのほかさまざまなセキュリティ機能を提供する。その具体的な内容について解説したRen氏は、「DefensePlatform」と組み合わせて使用することで、より強力なセキュリティ環境の構築が可能となると説明した。

最後の【Session3】では、プラムシステムズ ITソリューション開発部 ネットワークソリューショングループ チーフエンジニアの綱島道郎氏が、「Endian UTMで始める自宅LANセキュリティ向上計画」と題して講演を行った。

「Endian Firewall Community Edition」はオープンソースのセキュリティスイートとして世界中で幅広く利用されており、日本語対応のWebユーザーインタフェースで簡単に管理が行えるのが特徴だ。綱島氏はこの製品の解説を通して、もはやUTMは企業用だけではなく、家庭用としても有用となりつつあることを示した。