LIXILはこのほど、アサヒコーポレーションの守山徳治氏を講師とし、シニアライフセミナー「『足と靴選びの重要性と健康との関連性』 ~正しいウォーキングで健康寿命を延ばそう! 足と靴と健康のはなし~」を開催した。
健康寿命とは、介護を受けたり病気で寝たきりになったりせず、自立して健康に生活できる期間のこと。厚生労働省の発表(2010年)によると、健康寿命は平均で男性が70.42歳(平均寿命79.55歳)、女性が73.62歳(同86.30歳)だという。平均寿命に比べて、男性は約9年、女性は約13年短いことがわかる。
この現状について、「老化は止められませんが、遅らせることはできます。長い人生の中で自分の体をしっかり維持していくことの大切さを靴から学んでいただきたいと思います」と守山氏。
人間はもっとも不安定な動物!?
人間の体で地面と唯一接しているのが、"足"。足の裏の面積は体全体の表面積の約2%、頭の重さは成人で約5kgといわれている。「人間は高度な頭脳と器用な手先と引き換えに、体の安定を失った」と表現できるほど、2本の足で体を支え、立って歩くことは難しいことなのだという。
足は片足で26個(種子骨を入れると28個)の小さな骨で形作られており、それに付随して多くの筋と腱(けん)が存在している。人間の全身の骨の数は約200個あることから、その約26%もの骨が両足に集中していることになる。
また、直立二足歩行を行う人間は、地面の衝撃も2本足で受け止めなくてはならない。その衝撃を和らげるために、足は、親指の付け根・小指の付け根・かかとを結ぶ3点を支点としたアーチ構造となっている。縦アーチ(内側・外側)と横アーチからなり、重心を安定させ、歩行時の衝撃を吸収し、長時間立つことと歩行を可能にする役割をしているという。
このアーチが崩れると、足の裏全体が地面につき土踏まずがない状態の「偏平足」や、縦のアーチが高く甲高に見える状態の「ハイアーチ」になり、足や体へ負担をかけることに。また、5cm以上のヒール靴を履いた場合もアーチは変わり、体全体のバランスが変化してしまうとのこと。
ウォーキングで足と全身を健康に!
足腰が弱ると全身の活動性が低下し、脳の活動も衰える。そして、歩かない(歩けない)状態から骨がもろくなりやすくなり、筋肉が落ち、関節の保持も困難になるという。つまり、土台となる足のバランスが崩れれば、全身に影響が生じるということがわかる。
そこで足腰を鍛えるには、ウォーキングが有効だという。ウォーキングには、脂肪を燃やす効果のほか、酸素供給により脳を活性化させ、血液の循環が良くなることで心臓を鍛える作用も。また、仕事などのストレス解消にもなるとのこと。
なお日本人の1日の摂取カロリーは平均で2,200kcalといわれ、そこから消費カロリーを差し引くと多くの場合、100~300kcalほどが消化されずに残るという。余剰分300kcalをウォーキングで消化するには、時間にして約90分、歩数にして約1万歩という計算になるとのことだ。
正しいウォーキングの方法としては、まず目線の高さをキープし、ひじは曲げてコンパクトに早く振ること。そして、ひざを伸ばし、つま先で蹴ってかかとから着地するのが主なポイントだという。
また、ウォーキングシューズを選ぶ基準について、「手で持ったときの重さより、履いたときの重さが大切です。そして、靴ひもはしっかり縛ること。コンクリートを歩くことも多いので、ねじれにくく、しっかりしたものを選びましょう」と守山氏。そのほか、「つま先に捨て寸1cm程度のゆとりがあること」「つまずき防止のため、つま先がそり上がっていること」「かかとのクッション性が高いこと」などをあげた。そして、「良いシューズは、皆さんの足や関節を守るものです。"健康は足元"からと思って、靴選びをしっかり行いましょう」と呼びかけた。