マイナビニュースで新しい連載を始めることになった。狙いは「ニュース解説」。といっても、シンプルなものではない。ニュースの中で「家電的な意味で」もうちょい深掘りして、楽しい情報や役に立つ情報を付け加えていこう……という趣向で進めていく。ご愛顧いただければ幸いだ。
さて、第1回の題材とするのは以下の記事だ。
- VAIO Phoneがついに登場! - ユーザーニーズの“ど真ん中”を狙う (3月13日掲載)
VAIO Phoneは、そのありようも含め、非常に多くの議論を巻き起こした。要は「VAIO Phoneの名前から想像していたものとは違う」という反応から、一種の炎上状態になったわけだ。筆者も様々な課題があると考えているが、述べたいのはそういう話ではない。
皆さんの反応を見ると、「ODMが悪い」「パナソニックのELUGA U2にそっくりだから悪い」といった論調が多いように見受けられるが、本当にそうだろうか。背景には、現在のOEM・ODMを活用したものづくりについての誤解もあるように思う。
今回はVAIO Phoneの話題を軸に、「ODMを活用してモノを作るとはどういうことか」を解説してみたい。
優秀なODMがいるから「今の家電」が生まれる
かつて、製品を「作る」といえば、大手企業の場合、自社傘下の工場で製造するのが基本だった。他国で製造したり、製造専門の会社に委託したものは一級品ではない……、そんなイメージもあったろう。
しかし、もちろん今は違う。製造を担当する企業は、単に低価格化を担当する部門ではない。効率的な開発と製造を助ける「専門家」といったほうがよく、ODMはそうした手法の一つを指す用語となっている。
ODMとは「Original Design Manufacturing」の略で、本来は「生産委託を受けて、相手先のブランドのための製品を作る」ということを指す。たとえば、ある企業Aがスマートフォンを開発したいとしよう。しかし、企業Aには機器の開発についても、製造についてもノウハウが不足している。そうした場合に、生産委託を受けた企業Bが設計から生産までを手がけ、委託した企業Aのロゴを製品につければ、ノウハウのない企業Aでも「メーカー」になれる。なんか、どっかで聞いた話だ。
だが、である。
ODMはそんなにシンプルなものではない。やり方には色々あって、そこに委託する企業とODMメーカーの関係が表れてくる。