ソフレがなにかと話題になっています。「ソフレとは、添い寝フレンドのこと。キスやそれ以上のことは一切なしで、ただ一緒に寝るだけの異性の友達をそう呼ぶようです。当然、キスやそれ以上のことを求めてくる相手とはソフレの関係にはなれませんよね。いったいどういう相手が、ソフレに向いているのでしょうか。
ソフレが登場した背景として、「ひとりだと孤独で寂しいから」「性的な部分以外に関する欲求の充足」にあるのではないかということは、既に紹介しました(何でソフレを持つの? - その理由を心理学的に分析)。ソフレとの関係は、性的な欲求を満たすのではなく、疑似恋愛行動の中で恋人では埋まらない自分の欲求を満たしているのではないかというのが、その内容です。では、そんなソフレにはどんな相手を選ぶべきか。
「いじらしく可愛らしい」行動をする人は次第に本気に……?
相手に執着せず、本気にならない(恋人の地位に自分が就きたいと思わない)というのは大前提ですよね。だってあくまでも恋人は別にいて、もしくは恋人を作るつもりがなくて、孤独さや欲求をお互いに満たすためだけに一緒に寝るだけなんですから。
例えば 駅の改札などで別れを惜しんでイチャイチャしてくるような相手は、一見いじらしく可愛らしく見えます。ですが、本当は相手がどこかに行ってしまうのではないか、自分は愛されるに値しないのではないかという不安が強くあり、相手に執着するタイプなんです。こういうタイプは、ソフレの相手には向きません。恐らく、最初はソフレという地位で安心していても次第に相手を独占したくなってくるはずです
相手に尽くすタイプの人を選ぶのはいいかも
ほかにも、自分の欲求をみたす相手という意味ではアガペとよばれる恋愛スタイルの相手がいいでしょう。ジョン・アラン・リーというカナダの心理学者が、恋愛のスタイルを6つに類型化しています。一般的にはリーの色彩理論とよばれる恋愛スタイルの分類です。その6つとは、ルダス、プラグマ、ストルゲ、アガペ、エロス、マニア。一つひとつの説明は別の機会にゆずるとして、アガペとは愛他的な愛。つまり、相手の利益を考え、自分自身を犠牲にすることをいとわない恋愛スタイルです。
具体的にいえば片山恭一さんの『世界の中心で、愛をさけぶ』に登場する主人公の朔太郎が、このタイプ。恋人アキのために自分のことは顧みず、相手に尽くすタイプです。ソフレは恋愛ではないわけですが、こういうタイプの相手をソフレにすれば、自分の欲求をかなえようと献身的になってくれるかもしれません。
ただ、個人的には恋人に自分の欲求が伝えられないというのは、いい関係とは思えません。ソフレを持つことで穴埋めをするのではなく、すべてを委ねられる関係を恋人と築くことが大切だと思います。
※写真と本文は関係ありません
著者プロフィール
平松隆円
化粧心理学者 / 大学教員
1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。京都大学研究員、国際日本文化研究センター講師、チュラロンコーン大学講師などを歴任。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。魅力や男女の恋ゴコロに関する心理にも詳しい。現在は、生活の拠点をバンコクに移し、日本と往復しながら、大学の講義のみならず、テレビ、雑誌、講演会などの仕事を行う。主著は『化粧にみる日本文化』『黒髪と美女の日本史』『邪推するよそおい』など。