スペイン・バルセロナでモバイルデバイスの展示会「MWC 2015」が3月2日から5日(現地時間)まで開催された。Microsoftもスマートフォン「Lumia 640」「Lumia 640 XL」を同イベントに合わせて発表。Nokiaブランド時代から数えて第4世代にあたる製品だ。
Lumia 640とLumia 640 XLは、スペックを見る限りでは、Noka Lumia 1320クラスのリプレース版やNoka Lumia 63xシリーズの後継機種にあたる。つまり、両機ともミッドレンジの製品であり、多くのユーザーが待望するフラグシップモデルではない。
ただし、Lumia 640とLumia 640 XLには、Office 365 Personalの無料サブスクリプション1年分と、1TBのOneDrive容量、60分/月のSkype無料通話権が付属する。さらに、搭載OSはWindows Phone 8.1 Update 2ながらも、Windows 10へのアップグレードパスを提供する予定だと、Microsoft Devicesグループ担当EVPのStephen Elop氏は述べていた。
注目したいのは価格だ。Lumia 640の3Gモデルは139ユーロ(約18,000円)、LTEモデルは159ユーロ(約20,000円)。Lumia 640 XLの3Gモデルは189ユーロ(約25,000円)、LTEモデルモデルは219ユーロ(約28,000円)と、スマートフォンとしては気軽に購入できる価格帯だ。
Elop氏はMWC2015の登壇時だけではなく、公式ブログでも「開発者には、ユニバーサルアプリに取り組んでほしい」と語っている。デバイスが普及するためには、その上で動作するアプリケーションの存在が欠かせないからだ。それと連動するように、ユニバーサルアプリのテクニカルリーダーであるKevin Gallo氏は「Windows 10はWindowsプラットフォームの統合を目指した取り組みの完成形」と公式ブログで述べている。
下図をみれば、Gallo氏の語る内容が伝わるだろう。クラウドサービスやNUIなどの技術やサービスを背景に、PCやスマートフォンといったデバイス上で同一のアプリケーションを動作可能にする。これがMicrosoftの目指すユニバーサルアプリだ。そして同社はこれらの基盤を"One Windows Platform"と称している。
ユニバーサルアプリは多方面で推進されている。GDC 2015でもMicrosoftは、Xbox Live SDKの提供やDirectX 12に関するアナウンスを行ったが、ユニバーサルアプリについても強調している。Xbox部門のリーダーを務めるPhil Spencer氏は「所有するゲームをどのデバイスでもプレイする環境が重要」と述べた。
Xbox OneとWindows 10の連動は以前のレポート記事でも紹介したが、その一環として、どちらかで対応タイトルを購入すると、Xbox OneやWindows 10いずれでもプレイ可能になるシステムを展開する。すでにPlayStation 4やPlayStation Vitaで実現している"クロスバイ"を導入した形だ。ここにはスマートフォンやタブレットが含まれないため、One Windows Platformとは言い切れない。だが、各方面に分散していたリソースを集約させ、同じプラットフォームで体験するという観点から見れば、同列に扱っても構わないだろう。
プレビュー版が使用可能になった「Office for Windows 10」はユニバーサルアプリとして2015年後半にリリースされる予定だ(デスクトップ版となる「Office 2016(仮)」も同様)。このようにMicrosoftは、あらゆる角度からユニバーサルアプリ化を突き進み、エンドユーザーに利便性を強調しつつ、開発者に情報提供と参加を求めている。デバイスやOSに縛られる時代は終わりつつあるのだ。
阿久津良和(Cactus)