「あの米国発のメキシカンファストフード『Taco Bell(タコベル)』が日本に再上陸する」。ネット上でそんな噂が飛び回っていた中、ついに2月26日、タコベルが外食チェーンで知られる日本の「アスラポート・ダイニング」とフランチャイズ契約を結んだことを正式に発表した。そこで今回、米国内で展開しているタコベルを日本再上陸に先駆けて実食してみた。

メキシカンファストフード「タコベル」は種類も豊富

全米に6,000店展開するメキシカンファストフード

そもそもタコベルとは、ロサンゼルスに近いアーバインに本社を置き、タコスやブリトーが主力メニューのメキシカンファストフード店。米国内で展開されている「マクドナルド」や「カールスジュニア」等のハンバーガーファストフードと一線を画すために、メキシカンに欠かせないトルティーヤがバンズの代わりに使われている。

現在、全米で6,000店舗以上、海外では26カ国約250店舗を展開しているが、今後は海外も含めて店舗展開を拡大する予定だという。そこで白羽の矢が立ったのが日本だ。1980年代には日本国内で展開をしていたが、現在では在日米軍基地内などの一部店舗を除いて撤退している。出店時期や場所はまだ公表されていないが、ネット上では「アメリカのファストフードって言えばコレでしょ!! 」「早く来い来い、タコス来い♪」などと、再上陸を待望するつぶやきがあふれている。

入り口には大きなベルマーク。店内にはラテンの雰囲気が漂っている!?

ラザニアを思わせるトロトロブリトー

今回、訪れたのはロサンゼルスで展開されているタコベル。次々に新作を発表しているのも、タコベルにはまってしまう理由のひとつだ。無料のチリソースはマイルド・ホット・ファイヤーの3種類。「YOU KNOW YOU WANT ME」(私を欲していることをあなたは知っている)などと、いろんなメッセージが書かれているのも楽しい。

無料のチリソースで自分好みの辛さに

まずは新作のブリトー「SMOTHERED BURRITO」(スマザード ブリトー、3.29ドル)から。ビーフ、豆、それに米がトルティーヤでラップされ、上にはサワークリームとクリーミーかつ濃厚なトマトソースがたっぷりかかっている。一口食べればその濃厚さが口に広がり、具とソースが柔らかいトルティーヤと絡まる。トマトソースゆえに、何となくラザニアを思わせる一品だ。フォークとナイフで食べ、十分満足感が得られる。

「スマザード ブリトー」(3.29ドル)はフォークとナイフを使って

続いては定番のタコス「CRUNCHY TACO」(クランチー タコス、1.29ドル)。中見はビーフやレタス、チェダーチーズ、サワークリームと至ってシンプルながら濃厚な味わい。定番中の定番タコスだけに、「これを食べずしてタコスは語れない」と思わせてくれる味わいである。

もうひとつは、トルティーヤチップス「ドリトス」の生タイプを皮にしたタコス「NACHO CHEESE DORITOS LOCOS TACOS」(ナチョ チーズ ドリトス ロコス タコス、1.49ドル) 。具は「クランチー タコス」と同じだが、トルティーヤがドリトスになるだけも濃厚さがぐんとアップする。

(下から)「クランチー タコス」(1.29ドル)と「ナチョ チーズ ドリトス ロコス タコス」(1.49ドル)

トルティーヤのピザは豆が隠し味

シェアして食べるならピザ「MEXICAN PIZZA」(メキシカン ピザ、3.29ドル)もオススメ。薄いトルティーヤの上に、ビーフ、トマト、レタスなどの具、さらにその上にはたっぷりのチーズとピザソースがトッピングされている。

このトルティーヤ、実は2層になっていて、中には豆のペーストがサンドされている。普通のピザのような香ばしさと軽さというよりも、トルティーヤの生地のしっとり感が勝っており、タコスやブリトーを食べているような感覚に近いかも。かむ度に豆の味がしっかり立ち、通常のトルティーヤとも異なった食感・味わいが楽しめる。

「メキシカン ピザ」(3.29ドル)には豆のペーストをサンドしたトルティーヤを使用

食べやすさと見た目のユニークさで人気なのが、クランチラップ「CRUNCHWRAP SUPREME」(クランチラップ シュプリーム、2.79ドル)。ビーフ、トマト、レタスにナチョチーズとサワークリームを加え、厚めのトルティーヤで巻いた後に軽く焼き上げる。サワークリームがほどよい酸味を出していて、シャキシャキのレタスとトロトロのナチョチーズに絶妙にマッチする。手を汚すことなく食べられるのもポイントが高い。

「クランチラップ シュプリーム」(2.79ドル)はサワークリームで酸味をプラス

食べ応え十分のサイドメニュー

サイドメニューとして、ナチョス「NACHOS SUPREME」(ナチョス シュプリーム、2.39ドル)とデザート「CARAMEL APPLE EMPANADA」(キャラメル アップル エンパナーダ、1.00ドルもご一緒に。

メキシカンで忘れちゃいけないのがナチョス。トルティーヤチップスの上にビーフやトマト、豆、チーズがかかっていて、これだけでも十分主食になる。そして、ラテンのパイ「エンパナーダ」の中には、キャラメルで甘さを増したアップルがいっぱい! デザートとしてはちょっと重たいかもしれないが、このボリュームで1ドルなのはうれしい。

「ナチョス シュプリーム」(2.39ドル)は主食級のボリューム

メキシコ版アップルパイの「キャラメル アップル エンパナーダ」(1.00ドル)

気がついた人もいるかもしれないが、メキシコ料理の材料は、トルティーヤ、肉類、豆、レタス、トマト、チーズなどと、どのメニューも実は同じようなものが使用されている。なのに、これほどバラエティーに富んだメニューが楽しめるのは面白いと言えるだろう。もちろん、どれもボリューム満点でおいしい!

メキシコ料理にあまりなじみのない人も多いかもしれないが、マクドナルドや今秋にも日本に上陸するカールスジュニアを脅かす新たな米国発のファストフードとして、日本人たちを魅力してくれることだろう。

※記事中の情報・価格は2015年2月取材時のもの

筆者プロフィール: 佐々木 綾(ささき あや)

フリーライター。ニューヨークやパリにも居住歴あり、現在はロサンゼルスから発信している。ファッションとフード業界に精通しており、お酒好き! 実際に足を運びたくなるような取材を心掛けている。