ラーメン激戦区の東京・池袋。数多の名店がしのぎを削るこの地には、衝撃の大盛りで多くのフードファイターを驚愕させるつけめんがあるという。つけめんも大盛りもどちらも大好きな記者が、その味とビジュアルがどれほどのものか確かめるべく、実際に行ってきたゾ!
2000年代つけ麺ブームの火付け役
池袋駅から徒歩10分程度、首都高速の高架下に威厳を持ち鎮座するのは創業40周年の老舗「梅もと」。雑司ヶ谷から南池袋、そして1年ほど前よりここ池袋に移転しきたこの店は、約15年前につけ麺販売を開始。2000年以降のつけ麺ブームに一役を買ったとも言われる名店だ。
そんな名店に訪問できることを光栄に思いつつ、入店すると柔和な笑顔で受け入れてくれたのは店主である西村知行さん。
「つけ麺の大盛りをください! 」
言うても食うに困って常に腹を減らせている貧乏記者。多少の大盛りが食べきれないということはない、ってことで意気揚々と注文。が、「大盛りって言っても種類があるけど、何にします? 」とのこと。
どうやら「梅もと」のつけめんには小盛り(1玉)、中盛り(1.5玉)、大盛り(2玉)、地球盛り(3玉)、銀河盛り(4玉)、宇宙盛り(5玉)、ビックバーン盛り(7玉)と区分けされているそうだ。そしてそして、これらのどの盛り方を選んでも、何と一律700円! や、安すぎだ!!
さらにブラックホール盛り(10玉)、獅子盛り(15玉)、流星盛り(20玉)、クレーター盛り(25玉)なんてものまであるそうなのだが、食べきれる人なんてほぼいない上に、店主の体力的なこともあって、現在ほとんど注文はないそうだ。ちなみにギャル曽根はクレーター盛りを残り約2玉まで食べたらしい。ギャル曽根、恐るべし。しかし、今の私も空腹で胃は軋み、ギャル曽根ほどではないにしろ、相当食べられる自信がある。ということで、
「ビックバーン盛りで! 」
学生さんの苦しみながらの笑顔がこの大盛りを生んだ
重量は750g。制限時間は1時間、残すと罰金1,000円。望むところだ。出来上がるまでの間、西村さんになぜこのような大盛りを始めたのか聞いてみた。
「雑司ヶ谷でつけ麺を始めた頃は近くに大学があったこともあって、学生のお客さんが多くてね。大盛りを出してあげても食べ足りないという声があったので、どんどんと大盛りの種類が増えていって気が付いたらこんなことに(笑)。でも、苦しいって言いながら笑顔で帰るお客さんの顔を見るのが嬉しいんだよね」。
いやでも、25玉は盛り過ぎでしょうに。と、そうこう話しているうちに着丼。……そして同時に絶望。
日本昔話に登場する大盛りごはんがかわいく思えるほど、うず高く盛られたこのつけ麺。これ無理っしょ……。なんて泣き言を言っている暇はない。すでに時は刻まれている。
早速一口食してみると……う、うまい! あまじょっぱいゴマ醤油と細かくほぐした肩ロースが細麺にバッチリ絡んで、ものすごくさっぱりな口あたり。つけ麺というと最近は魚貝とんこつがトレンドではあるが、ここはまったくのオンリーワン! 麺もすごくコシがあって、つけ汁をつけなくても食べれちゃうほどハイクオリティだ。
何歳になっても生涯現役宣言
いくら口に運んでも全然飽きがこないのもスゴイ! しかし、なかなか量も減らないので、せっかくなので食べながら西村さんに質問。40年ずっとラーメン作り続けるって、ホントすごいですよね!?
「ラーメン好きが高じて、30歳で脱サラした後にラーメン店を開業して今年で73歳。過去に病気で療養していた時期があって、だんだんと体が動かなくなってきてるけど、生涯現役でラーメンを作り続けて、お客さんを笑顔にしてあげたいね。だからいくら材料費が上がっても、うちの値段は上げない。この家賃さえ払えればいいんだよ」
もはやジャイアント馬場を彷彿とさせるその気高さ! あれ、おかしいな、ちょっと目がうるんできた。が、それとは別にどうしようもならない満腹感にも襲われた。ということで、ここでギブアップ。西村さん、ごめんなさい……。
だが、ただ多いだけでなく味も間違いなく本物。全国からお客さんが足を運ぶというのも納得だ。冷やかしで途方もない大盛りを注文するのはやめていただきたいが、西本氏が魂を込めて生み出すつけ麺、ラーメン好きなら必ず食すべし!
※価格はすべて税込