3月14日より開幕する、5人のプロ将棋棋士とコンピュータ将棋ソフトによる団体戦「将棋電王戦FINAL」にデンソーが協賛し、新たに開発したロボットアーム「電王手さん」を提供することが明らかになった。
デンソーは、昨年行われた「第3回将棋電王戦」にも協賛し、デンソーの子会社であるデンソーウェーブが、コンピュータ将棋の指し手を盤上に再現するロボットアーム「電王手くん」を提供したことで大きな話題となった。今回は、その「電王手くん」に代わり、新たに開発したロボットアーム「電王手さん」が提供される。
「電王手さん」は、2014年度のグッドデザイン大賞を受賞した医薬・医療用ロボット「VS-050S2」をベースに、さらなる高性能と機能美を追求し、将棋対局専用に設計、開発されたロボットアーム。最大の特長は、見た目もさることながら、世界初の技術となる成駒(駒を裏返すこと)の動作を実現したグリッパー(指の役割)部分にあるという。
前回の駒の着手は、コンプレッサーによる吸着式であり、いったん駒を吸い上げて成駒専用の台に移動させ、反対面から吸着し直してから盤上に置き戻すという イレギュラーな対応が必要とされていた。しかし今回は、新たに開発したアーム先端のグリッパーで駒をつかみ、隣の駒に触れることなく、駒の移動や裏側に回転させた成駒が可能に。公式棋戦と同じように将棋盤の駒を使用することができる。
また、斜めになった駒やずれて置かれた駒も、アーム先端に装着したカメラが多方向から画像認識し、1ミリの誤差もない着手を実現。プロ棋士とロボットアームの間に目に見えない安全柵(エリアセンサー)を設置するほか、長時間の連続稼働が可能で、終日行われる対局にも対応。外観は、医療現場などの滅菌環境で使用される磨き抜かれた、シルバーの表面処理が施されている。現在、動画サービス「ニコニコ動画」では、この「電王手さん」の動画も公開中。
「将棋電王戦FINAL」は、5人のプロ将棋棋士とコンピュータ将棋ソフトによる団体戦。団体戦。3月14日~4月11日の毎週土曜日に全5局を行い、結果3勝した方が勝者となる。第1局(3月14日京都・二条城)は斎藤慎太郎五段 vs Apery、第2局(3月21日高知・高知城)は永瀬拓矢六段 vs Selene、第3局(3月28日北海道・五稜郭)は稲葉陽七段 vs やねうら王、第4局(4月4日奈良・薬師寺)は村山慈明七段 vs ponanza、第5局(4月11日東京・将棋会館)は阿久津主税八段 vs AWAKE が対決する。