マツダが2月27日に発表した新型コンパクトクロスオーバーSUV「CX-3」が、2月28日・3月1日の2日間開催された「NAGOYAオートトレンド 2015」に登場。マツダブースでは、「CX-3」とともに新型「ロードスター」も並んで展示され、「ここだけモーターショー」状態。ひときわ高い人気を集めた。
コンパニオンなしでも大人気だったマツダブース
「CX-3」は、「SKYACTIV技術」と「魂動」デザインを全面的に採用したマツダ新世代商品の第5弾。先に登場した4モデル「CX-5」「アテンザ」「アクセラ」「デミオ」はいずれも大ヒットしているだけに、期待はきわめて高い。クリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 1.5」専用モデルであることも大きなインパクトといえる。
「NAGOYAオートトレンド」はカスタムカー・ドレスアップカーのイベントで、本来は新型車発表の場ではない。来場者の年齢層は若く、コンパニオンたちをカメラが取り囲む光景があちこちのブースで見られた。黒山の人だかりに何事かと近づくと、その中心にいるのは露出度の高い女の子ということが多いのだが、マツダブースだけは別。人だかりの中心にいるのは発売されたばかりの「CX-3」や、新型「ロードスター」などの最新モデルだった。
写真で見ると、ややのっぺりした印象のある「CX-3」だが、実車を目前にすると印象は変わる。「魂動」デザインに共通する艶っぽさ、豊かな曲線と引き締まったフォルムの両立が受け継がれており、質感は非常に高い。「CX-5」との差別化も巧みで、より若々しく躍動感を感じさせるフォルムには、格下という雰囲気がまったくない。
では、「CX-3」とプラットフォームやクリーンディーゼルエンジンを共用する「デミオ」との比較ではどうだろう? プラットフォームが同じとはいえ、「CX-3」は「デミオ」より215mmも長く、70mmも広い。やはりまったく別ジャンルのモデルだ。スタッフによると、「デミオ」は幅広くいろいろな人に乗ってもらうためのクルマであり、「CX-3」はより都会的な生活を楽しむ若い世代にフォーカスすることで、棲み分けができているという。
1.5リットルのクリーンディーゼルは、「デミオ」から各部をブラッシュアップして搭載している(写真の一部パーツは非純正) |
SUVとしてはコンパクトだが、絶対的なサイズは決して小さくない。ラゲッジスペースにも余裕がある |
注目のクリーンディーゼルエンジンについても聞いてみたところ、このエンジン1本に絞ったのは、運転する楽しさを感じてほしいからだという。ディーゼルだけという判断に至るまでは、燃費性能や他車との差別化といったさまざまな判断があったはずだが、スタッフはそういったことには触れず、「楽しさ」という言葉を連発していた。
以前、別のマツダ社員から、「CX-5のディーゼルを発売したときは本当に怖かった」と聞いたことがあるが、いまでは自信に満ちているようだ。たしかに、回さなくても低回転で太いトルクを発揮するディーゼルエンジンは、日常的なスピードレンジで最高のプレジャーを発揮してくれるはず。街中でメリハリの効いた走りが楽しめそうだ。
それにしても、かつて日本であれほど忌み嫌われていたディーゼルエンジンが、いまではエコカーとして税制の優遇を受け、走りの良さを理由に搭載されるとは。変われば変わるものだが、変えたのはマツダ、少なくとも日本ではその立役者といえるだろう。
クリーンディーゼルエンジン単体の展示も。これは2.2リットルだが、1.5リットルもエンジンブロックは同じだという。ガソリンエンジンにしか見えないコンパクトさ。精緻なメカニズムは、無骨なディーゼルというイメージを覆す |
手前のターボチャージャーが、「SKYACTIV-D 1.5」に採用されている可変ジオメトリーターボ。ターボも劇的に進化しているのがわかる |
マツダ「CX-3」は2月27日から販売開始され、「XD」「XD Touring」「XD Touring L Package」を用意。全グレードでマニュアルトランスミッション「SKYACTIV-MT」とオートマチックトランスミッション「SKYACTIV-DRIVE」、新世代4WDシステム「i-ACTIV AWD」が設定されるという。価格は237万6,000~302万4,000円(税込)。