NTTドコモは2日、神奈川県横須賀市において2月17日に実施した第5世代移動通信方式(5G)の屋外実験で、受信時4.5Gbps以上の高速データ通信に成功したと発表した。エリクソンと共同で行われた同実験は、5Gが目指す性能を実現するための第一段階と位置づけられており、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックまでにサービスの提供開始を目指す。
実験は、神奈川県横須賀市のドコモR&Dセンタで行われ、局所的なエリアをカバーするスモールセル環境での通信を想定し、屋外に設置された基地局(光張り出し構成)と測定用車両に搭載した移動局装置(携帯電話機に相当)を用いて実施された。周波数は15GHz帯、400MHz帯域幅、MIMOは最大4ストリーム、移動速度は時速約10kmという環境下で、最大受信速度は4.58Gbps、半径100m以内では平均2Gbps以上を記録した。
6GHz以上の高周波数帯の電波は、減衰が大きく遠くまで届きにくい性質を持ち、移動通信サービスでの利用が難しいとされてきた。5Gが実現するにはより多くの周波数帯域幅が必要となるため、ドコモではこうした技術検証実験を行っているという。
その1つとして、さらに高い周波数帯であるミリ波を活用し、5Gの移動通信を実現する「ビーム追従機能」の検証実験をノキアネットワークスと共同で2014年12月に実施した。屋内で行われた同実験では、70GHz帯、1000MHz帯域幅を用いて最大受信速度2.057Gbpsを達成している。
ドコモは、2014年5月にAlcatel-Lucent、エリクソン、富士通、NEC、ノキアネットワークス、Samsung Electronicsの6社と5Gに関する実験協力の合意をしている。加えて、ミリ波帯での通信性能の改善、6GHz未満の周波数帯の活用の検証を進めるため、2014年12月に三菱電機、2015年2月にファーウェイとも協力について合意しており、計8社と5Gの実験を推進している。今後ドコモでは、2020年7月に開催予定の東京オリンピック・パラリンピックまでに5Gサービスを提供開始することを目指し、研究開発に取り組むとしている。