「鳥取砂丘」(鳥取県鳥取市)といえば、言わずと知れた観光スポット。筆者はこの冬初めて訪れたが、そのスケールの大きさは想像以上のものだった。日本にいながらにして日常を忘れられる風景が、ここにはある!
鳥取砂丘は南北2.4km、東西16kmに広がる、日本最大規模の砂丘。灼熱の太陽、青い海、白い砂……砂丘といえばそんな夏のイメージを抱いていたが、冬の砂丘も、もの寂しげな雰囲気が趣深くてよいものだった。砂を踏みしめ、目の前に開けた視界の広さに深呼吸。澄み切った冷たい空気がからだに入ってくる。見渡す限りどこまでも砂だ。
風がつくるダイナミックな砂の起伏
鳥取砂丘の魅力は、風とともに動く、生きているような砂丘の姿。丘の造形、砂の表情が刻一刻と変わっていき、静かに時の流れを感じることができる。早朝に訪れると、観光客も比較的少なく、足跡もあまりないのでおすすめだ。
海側には、「砂丘列」と呼ばれる砂の高まりがある。馬の背中のように見えることから「馬の背」という愛称でも親しまれている砂の壁は約46メートルあり、真下から見上げると迫力満点。のぼってみると、少し息が切れるほどの高さだ。上からは、眼下に海も望むことができる。
そのほか、冬は池だが夏には干上がってなくなる「オアシス」や、風の渦がつくったすり鉢状の凹地「追後スリバチ」なども見られる。
刻一刻と変わっていく砂の紋様
しばらく歩いていると、乾いた砂の上に風が吹いたとき見られる砂丘独特の風景「風紋(ふうもん)」も見ることができた。風紋は紋様を変えながら風下側へと移動していく。
さらさらと流れていく砂を眺めていると、砂丘はずっと前からこうやってかたちを変えながらここにあるのだなあ、と自分が日常で感じているよりも大きな時間軸を意識させられた。
しばらく歩いて振り返ると、砂丘は先ほど見たのとはまた違う姿になっている。まったく同じ景色は二度とない、その一瞬の風景を楽しむことができる。
まだ訪れたことのない人はぜひ足を運んで、砂丘を体感してみてほしい。つらいときは鳥取砂丘に行けばいい、砂が忘れさせてくれるから……。