マツダが6月に国内販売を開始する予定の新型「ロードスター」。その全容が少しずつ明らかになっている。歴代で最も小さく、衝突安全性を確保しながら初代モデルに迫る軽量化を達成し、伸びやかなスタイリングも実現したことは、まさに快挙といえるだろう。
新型「ロードスター」は開発にあたり、「一瞬で心ときめくデザイン」「夢中になるドライビング体験」「開放的でリフレッシュできる気持ちよさ」の3点に力を注いだという。ボディの小型化や軽量化、あるいは美しいスタイリングは、それ自体が目標として掲げられたものではなく、この3つの目標を達成する手段として実現された。
まず、ボディサイズを確認しておくと、歴代モデルの全長が初代から3代目までの順で3,970mm、3,955mm、3,990mmだったのに対し、4代目モデルは3,915mmで最も短い。一方、全幅は過去のモデルが1,675mm、1,680mm、1,720mmだったのに対し、4代目モデルは1,730mmと、最も大きくなっている。短く、広くなったことで、よりスポーツカーらしいフォルムを実現したといえる。もちろん、ロードスターの伝統である前後重量配分50:50は維持している。
こうしたコンパクトなボディで、「夢中になれるドライビング体験」を実現するため、エンジンのパワーアップではなく、徹底した軽量化が行われたという。パーツのアルミ化は従来のボンネット、トランクリッドに加えて、フロントフェンダー、ソフトトップのリンク、ヘッダーパネル、前後のバンパーレインフォースメントなどに拡大。フロントアッパーアーム、ロアアーム、パワープラントフレームなどの足回りもアルミ製とし、電線の一部にもアルミを使用している。
歴代「ロードスター」「RX-7」開発時に遂行された「グラム作戦」が今回も展開され、1g単位でも軽量化すべく、たとえばウインドウガラスも機能上必要ない部分はカットされ、重量軽減穴を開けた。こうした努力により、車重は初代モデルに迫る1,000kgに。初代モデルが登場した1980年代と現在の衝突安全基準の違いを考えれば、驚異的な軽量化といえる。
デザイン面では、短い全長でも美しいプロポーションを実現するため、全高を低減。エンジンを低く配置してボンネットを低くし、それに応じて乗員のヒップポイントも下げ、居住性を確保したまま全高を下げた。開放的な気持ち良さを実現するため、オープン状態で美しいデザインを追求し、ソフトトップを小さくたたみ、どの車速でも心地良い導風も実現。オープン時でも音楽をクリアに楽しめるヘッドレストスピーカーを採用した。
エンジンは「ロードスター」専用にチューニングを施した1.5リットルの直噴エンジンを搭載。新設して専用チューニングを施した6速マニュアルとオートマチックトランスミッションが用意される。エンジンの最高出力は131PSと控えめだが、車重を考えれば必要十分だろう(新型「ロードスター」に関する数値はすべて開発目標値)。
新型「ロードスター」の発売される6月が待ち遠しい。