日本経済団体連合会(以下、経団連)は17日、サイバーセキュリティ対策の強化に向けた提言を発表した。政府に対し、国民生活や経済活動に支障が生じるおそれがある重要インフラのセキュリティを強化するよう求めている。

同提言は、サイバー攻撃により情報通信、金融、鉄道、電力、ガスなどの重要インフラが停止すれば、国家の機能維持が困難になると指摘。その上で政府に対し、これらの重要インフラをサーバー攻撃から守ることを明確にし、抑止力を向上させる必要があるとしている。

具体的には、サイバー攻撃に関する会議体の情報共有体制の強化、ならびに官民の具体的な情報共有方法の検討を求めるとともに、大規模なサイバー攻撃に対する判断基準・指針を整備し、官民合同の訓練・演習を実施するよう提言している。

このほか、防御能力の強化を目的とした技術開発およびシステム運用、ホワイトハッカーなどの人材育成、国際連携の推進、現在の重要インフラ13分野の見直し、インターネット利用者の知見の向上などを要望。併せて政府に対し、内閣官房に情報集約機能を一元化し、サイバーセキュリティ戦略本部のリーダーシップを発揮するよう求めている。

産業界の取り組みとしては、経営層の意識改革をはじめ、組織改革や人材育成、業種間の情報交流、意見交換を進めるとともに、大学・大学院のセキュリティ講座を企業が支援するとしている。