ホンダがこのほど発売した新型ハイブリッドミニバン「ジェイド」。低全高・3列シート・ヒンジドア、そしてサイズ感と、先代「オデッセイ」を連想させるキャラクターを持った6人乗り新型乗用車だ。ホンダ本社で行われた発表会にて、実車を見学した。
1,530mmの低全高で立体駐車場に対応
中国ではすでに昨年から販売されていた「ジェイド」だが、日本仕様車はハイブリッド専用モデルとしての発表となった。同じくハイブリッド専用車である「グレイス」や、「ヴェゼル ハイブリッド」が搭載する「SPORT HYBRID i-DCD」を採用し、25.0km/リットル(JC08モード)の低燃費を実現。正直、インパクトに欠ける数字のような気もするが、乗用ミニバンクラスではトップクラスとのことだ。
「ジェイド」に関しては、5ナンバーが売りのミニバン「ストリーム」の後継車種では? との噂もあったが、実際に発表会でお披露目されたのは3ナンバー車だった。ただ、同じ3ナンバーのミニバンである現行「オデッセイ」と比べて、全長・全幅・全高ともに小さい。とくに1,530mmという低全高には、多くの立体駐車場に対応した先代「オデッセイ」の姿がダブって見えた。
ホンダが提唱する「MM思想」にもとづいて設計
発表会で登壇した本田技研工業専務執行役員日本本部長の峯川尚氏は、「ホンダのクルマ作りは、乗る人のスペースは最大に、メカニズムは最小にという『MM(マン・マキシマム / メカ・ミニマム)思想』が基本」と設計姿勢を紹介。続いて本田技術研究所四輪R&Dセンター開発責任者の印南泰孝氏が、その「MM思想」にもとづいた「ジェイド」の特徴についてプレゼンテーションを行った。
印南氏によると、「ジェイド」は低全高のスタイリングでありながら、快適なキャビンスペースを確保するため、燃料タンクや排気システムを薄型化し、低床化を実現したとのこと。また、ハイブリッドシステムのIPU(インテリジェントパワーユニット)をセンターコンソール内に縦に配置することで、3列目シート(荷室)にゆとりを確保した。ちなみに「グレイス」では床下にIPUが、「ヴェゼル ハイブリッド」ではリチウムイオンバッテリーが後輪上部付近に搭載されている。
また、印南氏は室内でもとくに2列目シートを「リムジン空間」と位置づけ、居住性を追求したと解説。新機構「Vスライドキャプテンシート」により、2列目シートはリアのホイールハウスを避けて後方に大きくスライドし、ゆったりとした足元空間が広がるという。2列目シートは後ろに下げるほど内側へ寄っていくため、快適な前方視界も得られるとのこと。
「ジェイド」は基本グレードの「HYBRID」と、安全運転支援システム「ホンダ センシング」を装備した「HYBRID X」の2タイプを展開。価格は、「HYBRID」が272万円、「HYBRID X」が292万円(ともに税込)となっている。