NTTドコモでは3月1日より、携帯電話の回線と固定回線をセットで契約すると割安になる「ドコモ光パック」を開始する。ニュースで目にはしたけれど、いまいち「どんな人に」「どのように」お得なサービスなのか分からない、という人も多いことだろう。そこで本稿では、実際に契約した場合を想定して、料金をシミュレーションしてみたい。

「ドコモ光パック」のサービス内容を紹介するドコモの加藤薰社長。ドコモ光パックは「どんな人に」「どのように」お得なサービスになっているのだろうか?

「ドコモ光パック」のおさらい

前稿では「ドコモ光パック」のサービス概要を紹介した。あらためて、内容を簡単におさらいしてみよう。現在、利用者は家のインターネット使用料はフレッツ光に、携帯電話の使用料はそれぞれの通信会社にバラバラに支払っている。この窓口を「NTTドコモ」に一本化することで、利便性が増すだけでなく、月の利用料金も安くなる。また、ドコモの選任スタッフや専門のオペレーターによるサポート体制も充実している。ドコモ光パックはそんなサービスだ。

ドコモ光パックではISP使用料、フレッツ光回線使用料、モバイル回線使用料をまとめることで割安なサービスが実現する

実際の利用料金は? 試算してみた

では具体的には、どのくらいの料金で利用できるのだろうか? ここで、ざっくりとした料金シミュレーションをしてみたい。例えば、マンション住まいの家族4人でスマホ4台を使用している場合。月の通信費は「スマホの維持費(4人分)」+「固定回線の維持費」となる。ちなみに固定回線の維持費の内訳は、光回線の使用料+プロバイダ料金である。父母と長女の3人はドコモのスマホ、長男はauのスマホを利用中で、家では月額972円(税込み、以下同)のプロバイダと契約、父親はドコモとの契約年数が10年以上に達していると仮定。算出した利用料金は、以下のようになる。

■ ドコモ光 契約前
(カケホーダイプラン 2,916円+spモード 324円)×3人分
+auスマートフォンの維持費 8,640円
+シェアプラン 540円×2人分
+シェアパック15 13,500円
-ずっとドコモ割 864円
+フレッツ光 4,050円
+プロバイダ料金 972円
=37,248円

一方、長男がドコモにMNPし、家族でドコモ光を契約した場合は以下のような月額料金になる。ここで注目したいのは、支払いがドコモに1本化されたことで月額料金が把握しやすくなったことと、ネットとモバイル、そして家族でキャリアをまとめることで支払い総額が安くなったこと。これが「ドコモ光」のメリットだ。

■ドコモ光 契約後
(カケホーダイプラン 2,916円+spモード 324円)×4人分
+シェアオプション 540円×3人分
+光シェアパック20 19,008円
-ずっとドコモ割 1080円
-光スマホ割 1,458円(最大12か月)
=31,050円

上記のケースでは毎月6,198円安くなっていることが、おわかり頂けるだろう。

NTTドコモのホームページでは、利用ケースに応じた料金シミュレーションが行える

次に、マンションにひとり暮らしをしている場合を考えてみた。ドコモのスマホを利用中でプロバイダとは契約していなかった利用者が、新規でフレッツ光を引くと月額の利用料金はどう変化するだろうか。そんな仮定で計算すると、以下のようになった。

■ドコモ光 契約前
カケホーダイプラン 2,916円+spモード 324円
+データLパック(8GB) 7,236円
=10,476円

一方、ドコモ光を契約した後の月額料金は以下のようになる。従来は、家でもスマートフォンのテザリングを利用していたため、データLパックの契約が必須だった。しかし家にフレッツ光を引いた後はWi-Fiが利用できるようになり、このためスマートフォンのパケットパックは「データSパック」(2GB)で足りるようになった。こんな仮定で算出している。

■ドコモ光 契約後
カケホーダイプラン 2,916円+spモード 324円
+光データSパック(2GB) 7,560円
-ドコモ光期間限定割引(最大12か月) 540円
=10,260円

上記のケースにおいては、フレッツ光を利用した場合の方が月額216円安い。ドコモ光期間限定割引(最大12か月)の分を差し引いても、現行の料金に+324円で光のサービスを運用できる計算になる。これは大変お得である。なお、他社では光のサービスを新規契約した場合、「ひかり電話」への加入が必須となる。しかしドコモ光では不要。カケホーダイを契約しているため「ひかり電話」がいらないユーザーにとってはうれしい選択肢といえる。このあたりも利用者目線で考えられた仕様となっている。

ドコモ光のメリット

では料金シミュレーションの解説を兼ねて、ドコモ光のメリットをあらためてまとめていこう。ドコモ光で契約した場合、プロバイダ料が別でかからなくなるほか、ドコモ光パックのセット割引で毎月540円~最大3,456円が割り引かれる。なお割引期間がもうけられておらず、3年目以降も同じ割引額が適用されるという特長がある。他社サービスでは3年目以降は割引き額が小さくなってしまうので、長期的に見ると大きな差となることだろう。

ドコモ光のメリットまとめ。サービスを1本にまとめることで、家計のムダやムラを圧縮できる

繰り返しになるが、ドコモの契約が長い人ほど割引額が大きくなる「ずっとドコモ割」が適用できるため、毎月648円~最大2,160円の割引も可能。また、スマホを新規に契約した人は「光スマホ割」として毎月1,458円が割り引かれ、25歳以下の人は「U25応援割」により毎月540円の割引と通信容量1GB/月の追加特典が得られるようになっている。

他社でも固定回線とのセット割サービスを提供しているが、対象となる固定通信サービスが少ないなどの制約がある。対応プロバイダ数で比較すると、ドコモ光の19に対して、SoftBank光は1。圧倒的な差である。

ちなみにドコモ光の場合、新規で光を引きたいユーザーはもちろんだが、NTT東西が提供する全国のフレッツ光サービス契約者(約1900万世帯)はすでに対象となる。これはFTTHアクセスサービス契約世帯の約70%に当たる数字。かなりの数の人がドコモ光の割引対象者となるわけだ。

ドコモ光の料金プラン(写真左)。住居とプロバイダのタイプによってコースが分かれる。プロバイダの多さは業界最多の19に上る(写真右)

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マイナビニュースでは、前編・後編の2回にわたり「ドコモ光」について紹介してきた。固定回線とモバイル回線をセットにすることで、家族、単身に関わらず総額がお得になる今回のサービス。他社で提供しているものより対象範囲が広いこと、さらには各社の表面的な割引金額に関係なく、まとめることで支払い総額が安くなるため、ほとんどのケースで多くの方が利用できることだろう。特に注目したいのは、ドコモ利用者、およびドコモに乗り換える予定の利用者向けに様々な割引サービスが用意されている点。「月の通信費をできるだけ圧縮したい」「安くて使いやすいサービスを利用したい」と考える人は、これらの特典を活かしたい。

提供の開始は3月1日からということで、春からの新生活に間に合うのが嬉しい。前述の通り、ドコモのホームページでは料金シミュレーションが行える。興味を持たれた方はチェックしてみると良いだろう。

(署名:大石はるか)