説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「iPhone1台あれば、パソコンなしでもやって行けますか?」という質問に答えます。

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確かに、iPhone1台で多くのことができます。WEBページの閲覧とメールの読み書きさえできればOK、というのであればiPhone1台でじゅうぶんです。iTunes Storeやストリーミングサービスを利用すればパソコンなしでも音楽を聞けますし、いまや多くのVOD(ビデオオンデマンド)サービスがiPhoneを対象にしているので、ドラマや映画も楽しめます。システムアップデートやデータのバックアップも、iOS 5以降は"PCレス"が実現されているため、パソコンなしでやり繰りできます。

しかし、なにか高度な処理を行おうとすると、iPhoneだけでは力不足なことが多いのも事実です。スプレッドシート(表計算)で作業したいときには、キーボードが使えて大画面に表示できるパソコンのほうが便利です。静止画/動画の編集ソフトもパソコン向けのほうが機能が豊富で、iPhoneなどスマートフォン向けアプリは補助版/簡易版という位置付けです。

特に、アプリ開発などプログラミングに関しては、パソコンの存在が欠かせません。iOSアプリに関していえば、ソースコードを実行形式に変換する処理(コンパイル)や不具合を探す作業(デバッグ)はMacでなければできませんから、iPhone1台ではどうにもなりません。

以前、Appleの共同創設者である故Steve Jobs氏が、あるイベントでパソコンの将来を「トラック」に喩えていました。かつてパソコンで行っていた作業の多くがスマートフォンで可能になるのならば、パソコンでなければならない人は減り、"荷を多く詰めるトラック"を必要とするのは専門的/高負荷な作業を行うプロに限定されていくだろう、という考えです。

この考えに立つと、専門的/高負荷な作業を行う可能性があるのならば、"トラック"たるパソコンが必要ということになります。iPhoneでは"荷が重そう"な処理を行う予定があるのならば、パソコンを手もとに置いておくべきではないでしょうか。

いまやExcelやWordも使えるiPhoneですが、まだまだパソコンでなければできない作業があることは事実です