アベノミクス成長戦略の3本柱のひとつとして打ち出された「女性活用」。1年で、この女性活用はどれくらい進んでいるのだろうか。今回はマイナビニュース会員のうち男女300名に、女性活用の現状について現場の視点から報告してもらった。
Q.女性活用が叫ばれるここ1年で、女性の働き方は変わったと思いますか?
はい 15.0%
いいえ 85.0%
Q.そう思う理由を教えてください
女性の働き方が変わった
■さまざまな職場で活躍
・「いろんな仕事で女性が働いているのを見る」(41歳男性/運輸・倉庫/技術職)
・「職種が広がった」(40歳男性/商社・卸/営業職)
・「バス、タクシー、トラックの運転手で女性が非常に増えた」(46歳男性/印刷・紙パルプ/技術職)
・「会社で契約している運送業の方で、あきらかに女性が増えた」(43歳男性/機械・精密機器/技術職)
・「女性の技術が増えてきた」(28歳男性/自動車関連/技術職)
■管理職も増えた
・「女性の管理職が増えたと感じる」(35歳男性/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)
・「女性の総合職が求人で増えているから」(32歳女性/金属・鉄鋼・化学/事務系専門職)
・「トップで働く人が増えたから」(49歳男性/情報・IT/技術職)
・「大きな仕事も任されている」(31歳女性/情報・IT/事務系専門職)
■子育て中も働ける環境
・「産休育休を利用する人が増えた」(27歳女性/生保・損保/営業職)
・「育休中のお給料が50%から70%に増えたのはありがたいと思う」(30歳女性/金融・証券/秘書・アシスタント職)
・「結婚しても働き続けるのがあたりまえで、子供産んでも止めない人も増えた」(41歳女性/マスコミ・広告/事務系専門職)
・「時短などを取り入れて上手に働いている方もいる」(33歳女性/運輸・倉庫/秘書・アシスタント職)
・「保育園が増えた」(33歳男性/機械・精密機器/事務系専門職)
■働く女性に追い風
・「女性が働くことについて、とりあえず肯定的になったと思う」(33歳女性/金属・鉄鋼・化学/事務系専門職)
・「女性が働く機運が高まった」(30歳男性/金融・証券/専門職)
・「女性の就業者が増えた」(43歳男性/学校・教育関連/専門職)
・「男女雇用均等法の適用が厳格になってきたと思う」(54歳男性/電機/技術職)
女性の働き方は変わらない
■現状を見るに
・「そこまで女性に活躍できる機会は広がっていないと思う」(27歳女性/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)
・「ここ1年で大きく変わった、という実感はないです……特に給料が増えたわけでも育休・産休が取りやすくなったわけでもない」(26歳女性/ホテル・旅行・アミューズメント/販売職・サービス系)
・「いまだに働きにくいと思うから」(28歳男性/小売店/販売職・サービス系)
・「1年程度じゃそんなに変わらん」(45歳男性/商社・卸/販売職・サービス系)
・「普通、変わりはない、騒ぎすぎ」(43歳男性/建設・土木/営業職)
■長いスパンで見れば変化あり
・「ここ1年で何か変わったということはない……じわじわ、10年前と比べると変わってきてるな、という感じ」(41歳女性/金融・証券/秘書・アシスタント職)
・「近年女性の立ち居地が変わっているのはわかるが、ここ1年での急激な変化はわからない」(29歳男性/団体・公益法人・官公庁/技術職)
・「1年ではまだ変わっていないと思うが、長い目で見れば進んでいっているし、これからはもっと進化すると思う」(32歳女性/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)
・「ある程度の活用ができてきて、それに政府が乗っかっただけ」(34歳男性/金融・証券/事務系専門職)
■全く進んでいないところも
・「旧態依然の我が社では、なかなか女性が活躍できる場面がない」(42歳男性/自動車関連/技術職)
・「社内は相変わらず男性社会で何も変わらない」(31歳女性/自動車関連/事務系専門職)
・「業界がまだまだ」(27歳男性/建設・土木/事務系専門職)
・「どうせ大手だけが待遇がよくなっても中小は関係ないので」(33歳女性/その他/その他)
・「ニュースに出てくる人達は変わったのかも知れないが、身近では変わっていない」(47歳男性/情報・IT/技術職)
・「時短勤務など制度はあるが誰一人利用していなくて有名無実だから」(30歳女性/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)
■いまだ女性の現状は厳しい
・「結婚してやめていく人がいまだに多いから」(26歳女性/機械・精密機器/事務系専門職)
・「子持ちの地位は全く上がってない」(31歳男性/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)
・「相変わらず待機児童も多いし、出産後の働き方はハードなままだから」(25歳女性/電機/事務系専門職)
・「結局無理をしないと働き続けられないから」(29歳女性/その他/その他)
・「周りを見ても何も変わったと思えない……扶養控除が無くなるから0歳児預けてパーとしないと…と言ってるママ友だらけで、世知辛くなったとは思う」(29歳女性/金属・鉄鋼・化学/事務系専門職)
・「特に子育て中の女性は本当に安定して就労することが難しい……そういう姿を見ていると子どもを産むことすら怖くなる」(25歳女性/医療・福祉/専門職)
■そもそも……
・「女性活用などというのは男性目線からの傲慢な言葉であり、数値目標を掲げることなど無意味だと思われるから」(26歳男性/生保・損保/事務系専門職)
・「無理矢理女性活用と謳っている感が強くて、かえって女性に厳しくなっていると思う」(44歳男性/情報・IT/技術職)
・「結局力のある人は、女性でも目立つことができる」(27歳女性/機械・精密機器/事務系専門職)
■総評
「女性活用」が叫ばれる中、女性の働き方が「変わった」と実感している人は15%と、2割にも満たない数字になった。被雇用者レベルで実感できるほど、女性の働き方が劇的に変わった、という状況ではまだまだなさそうだ。
「変わった」と感じている人は、運転手や技術職、運送業など、これまで男性の職業とされてきたようなさまざまな分野で女性の姿を見かけるようになった、という点を挙げてくれた。管理職・総合職でも女性が増えたと実感している様子だ。制度面での拡充を指摘する意見も目立ち、「産休・育休をとる女性が増えた」「保育園が増えた」「時短勤務」など、女性にとって働きやすい環境は、徐々に整備されてきている印象だ。
「変わらない」と答えた85%の多数派からは「ここ1年でそこまで急激な変化は見られなかった」という声が多かった。この中には「何も変わっていない」という厳しい現状を憂う意見と、長い目で見れば「変わってきている」と肯定的に感じている意見の2つがあることが分かった。「短期間で変わるようなものはむしろ不安定で、少しづつ改善していくべき」「だんだん変わってきている現状に、政府が乗っかっただけ」という非常に冷静な意見も寄せられ、頷くばかりだ。
女性たちからは「待機児童はまだまだ多い」「出産後もハードな働き方を強いられる」「結婚して辞める女性はまだまだ多い」という現場からのコメントがあり、また「子育て中のママの厳しい様子を見ていると、子どもを産むのが怖くなる」なんて20代女性の本音も飛び出した。女性が子育てしながらでも無理なく働ける社会、単なるキャンペーンではなく、日本がじっくりと長期的に取組むべき課題として制度改革を進めていってくれることを願う。
調査時期: 2015年1月15日~2015年1月17日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 男性137名 女性163名 合計300名
調査方法: インターネットログイン式アンケート