シャープは2月5日、デジタルコードレスファクシミリ「UX-AF90CL」と電話機「JD-AT80CL」を発表した。新製品は、昨今問題となっている"振り込め詐欺"の対策に役立つ製品だという。
どうやって"振り込め詐欺"被害を防ぐのか
UX-AF90CLとJD-AT80CLは、振り込め詐欺被害に遭うことを防ぐための7機能を搭載する。そのうちの1つが「自動聞いてから応答」機能だ。電話機本体の電話帳に登録されていない電話番号から着信した場合、振り込め詐欺対策モードが設定されていることを知らせる自動応答メッセージが流れる。その音声メッセージが、電話を掛けてきた相手に名乗るよう促すため、ユーザーは相手の名前を確認してから電話に出るかどうかを判断できる。
そのほか、電話帳に登録されていない電話番号からの着信を赤色のランプで通知する「あんしんLED」機能や、非通知の電話を自動で通話拒否できる「非通知お断り」機能、警告メッセージを流してから通話内容を録音する「自動通話録音」、不審な電話などで困った時に家族や警察・自治体などあらかじめ登録した相談先にワンタッチで電話を掛けられる「あんしん相談ボタン」などの機能を備える。
ファクシミリのUX-AF90CLは、2013年2月に発売されたUX-810CLの後継モデルだ。4.9型の視認性に優れた液晶ディスプレイや、ワンタッチで操作できる"音量大"ボタン・"音声案内"ボタンなど高齢者の使用を意識した操作性となっている。
【左】UX-AF90CLは上部のカバーを開けば、コピーやファックス機能を利用できる。ファックスは画面で確認してから出力可能だ【中】2.2型液晶を採用した、UX-AF90CLとJD-AT80CL共通の子機【右】保留/内線ボタンと音量大ボタンを側面に配置し、通話中にも使用しやすいデザインに改良した |
足立区で新製品の効果を実証する実験
新製品発表会には、シャープ デジタル情報家電事業本部 モバイルソリューション事業部 事業部長の辰巳剛司氏が登壇。「携帯電話の普及によって固定電話回線の加入者数は微減が続いているが、現在も約5,600万回線を維持している。ファクシミリや電話機端末の需要も減少傾向にあるが、2014年度の販売台数は年間約280万台に上る」と固定電話機に根強い需要があることを強調した。
さらに「固定電話端末の購入者層は60歳代が30.9%、70歳以上が42.8%。全体の約7割が60歳以上のシニア層」と分析し、高齢者のニーズに合わせる形で、このたびの新製品に振り込め詐欺対策機能を搭載したと述べた。
また、発表会にはゲストとして、足立区役所 危機管理室 危機管理課長の伊藤三津夫氏も登場した。軽犯罪が多いといわれる同区での犯罪防止の取り組みと、振り込め詐欺被害の実態を紹介した。伊藤氏によると、"特殊詐欺被害"と呼ばれる、いわゆる振り込め詐欺の被害件数は、足立区において2013年が107件、2014年が101件。被害額はそれぞれ約3億1,000万円、約3億4,000万円にも上ったとのことだ。
足立区は、2014年8月から都内で実施されている「特殊詐欺根絶オール東京プロジェクト」のモデル自治体でもあり、区内では実証実験なども行われている。2015年4月から9月までの半年間、足立区内に住む65歳以上の100世帯に新製品を貸し出して行う効果検証には、シャープも協力する。伊藤氏は「1件でも振り込め詐欺を減らしたい。今回の新製品がその起爆剤となれば」と実験への意気込みを語った。