スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ち、様々な部品や技術が搭載されています。そんなスマートフォンのカタログを見たときに、専門用語 のオンパレード……と思ったことはないでしょうか。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「デュアルSIM」についてです。

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デュアルSIMとは、文字どおりSIMを2枚挿ししている状態、あるいはSIMスロットを2基装備した端末をいいます。1台の端末で異なる2つの電話番号を持つことができるほか、必要に応じて携帯電話会社のネットワークを切り替えられるため、プライベートとビジネス、国内と海外など異なる環境でも携帯電話を2台持ちすることなく利用できます。

このデュアルSIMに対応したスマートフォンは、本邦メーカーから発売されていないこともあり、国内で見かけることはほとんどありません。しかし、海外、特にアジア諸国では比較的ポピュラーな存在で、デュアルSIM対応の端末も数多く発売されています。

このような機能が普及したきっかけは、GSM(2G)から3Gへの過渡期に、2Gの電話番号を活用しつつ高速な3Gのデータ回線を使いたいというニーズがあったところ、携帯キャリアの3G基地局を設置するスピードが追いつかなかったことが一因とされています。一方日本では3Gが急速に普及したこともあり、デュアルSIMの必要性は相対的に低かったといえます。

もうひとつ、日本では携帯キャリアが端末販売を戦略的に進めてきたという事情もあります。携帯キャリアが扱う端末はSIMロックが原則で、他社のSIMを利用する余地は最近までありませんでした。デュアルSIM端末は、通信設備が異なる、すなわち通信エリア/通信速度に差がある携帯キャリアのSIMを併用することが前提としてありますから、SIMフリーでなければなりません。

もっとも、2015年5月以降は日本国内で販売される端末にSIMロック解除が義務づけられますから、状況が変化する可能性は大です。デュアルSIM端末を購入すると、一方に長年利用してきた通信キャリアのSIMを挿して通話用とし、もう一方に格安SIMを挿してデータ通信用とするといった使い方が可能になりますから、発売されれば人気化するかもしれません。

デュアルSIM端末であれば、電話用とデータ通信用の回線を使い分けることが可能になります(写真はAinol製Androidタブレット「Talostec」のもの)