スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですから、スペック表を見れば専門用語のオンパレード……これではおいそれと比較できません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「Wi-Fi Calling」についてです。

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Wi-Fi Callingとは、無線LAN/インターネットを経由してSIMに依存する各種処理を利用できる機能です。セルラー回線の電波が届かない建物内部や山間地でも、無線LAN環境さえ整っていれば携帯電話の発着信やSMSの送受信が可能になります。携帯電話の通信圏を無線LANで補強/拡大するための機能、と言ってもいいでしょう。

この機能の最大のメリットは、たとえ海外にいても無線LAN環境さえあれば、ふだん使っている電話番号を利用できる点にあります。通常、セルラー回線が利用できない場所(圏外)では音声通話できませんが、Wi-Fi Callingに対応したスマートフォンがあれば、そのような制約はありません。海外にいるときでも、無線LAN環境さえあれば電話の発着信が可能になりますから(国内料金/国内通話プランの範囲内)、国際ローミング費用の節約になります。

Wi-Fi Callingは、Unlicensed Mobile Access(UMA)という技術に対応したゲートウェイの設置が必要になる都合上、通信キャリアのサービスとして提供されます。米国ではT-Mobile USが2007年から、Sprintが2014年から提供しており、一部のAndroid端末やWindows Phoneで利用できます。ただしOS組み込みの機能ではなく、専用アプリを利用して音声通話やSMSを行います。

Appleも、iOS 8から標準の機能としてWi-Fi Callingをサポートしました。対応機種はiPhone 5s/5c/6/6 Plusに限定されますが、Wi-Fi Callingをサポートする通信キャリアのSIMが挿入されていれば、専用アプリなしにWi-Fi Callingの機能を利用できます。

ただし、2015年1月時点でWi-Fi Callingをサポートする日本の通信キャリアは存在しません。利便性の高い機能なだけに、早期の導入を期待したいところです。

米T-mobileではWi-Fi Callingを提供。Wi-Fi Callingの設定をオンにすると電波表示の項目にT-mobile Wi-Fiと表示される

(記事提供: AndroWire編集部)