シンギバースとデスクトップアプリを使って3Dプリントに挑戦

今回のワークショップでは、実際に3Dデータを使って、プリンティングの一連の流れを体験した。

使用する3Dプリンタは、「Replicator」の第5世代モデルだ。プロフェッショナル仕様の「MAKERBOT REPLICATOR Z18」、デスクトップ型の「MAKERBOT REPLICATOR」、コンパクトで自宅にも設置しやすい「MAKERBOT REPLICATOR MINI」がラインナップされている。

まずは、シンギバースにアクセス。用意していただいたアカウントでログインし、今回プリントするデータを探す。今年は未年ということで、「sheep」で検索すると……出てくる出てくる! 羊をモチーフにした個性豊かな3Dデータが大量に表示された。

シンギバースに投稿される作品は、クリエイターが集まる他のコミュニティがそうであるように、季節など時期的な影響を強く受けるという。たとえばクリスマスが近くなればオーナメントが増えるし、iPhoneが発売されるとケースなどアクセサリ類が増えるといった具合だ。そうした"流れ"を考えて歩いてみると、シンギバースとMakerBotの世界がもっと楽しくなりそうだと感じた。 さて、今回はsheepで検索された中から、かわいらしくデフォルメされた羊のフィギュア「Wooly Sheep」を選択した。データをダウンロードし、デスクトップアプリを起動する。シンギバースとデスクトップアプリは現在、英語のみ。ただし、単語は平易だし、何よりビジュアルがメインなので、英語力に自信がなくてもさほど問題はなさそうだ。

今回は「Wooly Sheep」を選択

デスクトップアプリでは、ダウンロードした3Dデータの調整を行うことができる。今回は仕上がり具合を「スタンダード」に設定。ここで「High(高品質)」を選ぶと、ディテールがさらに細かく仕上がるが、その分、時間がかかってしまう。「Low(低品質)」はその逆だ。

デスクトップアプリにデータを読み込ませたら、印刷品質などの微調整を行う

諸々の設定を終わらせたら、いよいよプリントに移る。プリンタにはUSBメモリなどを利用するか、Wi-Fi接続でデータを送信することができる。

壁際に設置された第5世代「MakerBot」の周りにセミナー受講生が集まり、USBメモリを挿入する。MakerBotがデータを読み取ったら、ボタンを押すだけでプリントがスタートする。操作に迷うことはない。通常のプリンタと同じレベルの手軽さだ。

Replicatorにデータを送信してプリントする

手順はとても簡単だ

MakerBot内にあらかじめセットしておいたフィラメント(樹脂)が高熱で溶解し、3Dデータに従って羊のフィギュアが形づくられていく。目の前で立体物ができあがっていく様は、2D印刷とはまったく違う不思議な魅力がある。

フィラメントを溶かすために温度が上昇していく

いよいよプリント開始だ

少しずつ形ができていく

最終的にこの形になる

プリントにはそれなりの時間がかかるため、今回のセミナーでは完成を見届けることはできなかったが、MakerBotのエコシステムと3Dプリンティングの魅力は十分に知ることができた。

今のところ、3Dプリンタの素材は樹脂のみとなっているが、MakerBotによると近い将来、違う素材をフィラメントに練り込むことで、金属や樹などの質感を表現できるようになるという。そうなれば、3Dプリンティングの可能性がより一層広がるに違いない。

筐体が大きく高価な業務用しかなかった数年前と比べて、よりコンパクト、高性能、低価格化が進んだ3Dプリンタ。

もしかすると、近い将来のネットショッピングでは、3Dデータを購入して自宅でプリントするのが当たり前――なんて時代が来るのかもしれない。