東急東横線白楽駅から徒歩5分。アーケードのある細い路地が特徴の六角橋商店街仲見世通りの中ほどに、この店は存在する。名は「あげ市」。店前に貼られたメニューには、おいしそうな揚げ物たちがずらりと並ぶ。その中でひときわ目を引くのが、今回紹介する「デカ盛り丼」だ。とにかく見た目にもインパクトが強いメニュー。目にした以上、食べずにはいられない!
揚げ時間はきっかり4分
「デカ盛り丼をお願いします! 」。そう言うと店主の小林禎彦さんは、仕込んであった鶏もも肉を冷蔵庫から取り出して丁寧に衣をつけて揚げていく。ジュージューパチパチという音が店内に響く。揚げ時間はきっかり4分だ。
頃合いを見計らって、女将さんはどんぶりにホカホカのご飯を盛りつける。一体どれだけ入れちゃうの? と思わずにはいられないくらい、小気味良いリズムで盛られていくご飯たち。ご飯がしっかり盛られると、レタスを挟んで揚げたての唐揚げたちがこれでもかと盛られていく。
中央には手羽先もオン!!
「お待たせしました~」と目の前に出されたそれは、圧巻の一言だった。山盛りご飯の上には大ぶりの唐揚げがなんと8個も! さらに手羽先唐揚げまで!! メニューにはご飯500g、唐揚げ350gと書いてあったけど、どちらも絶対重量オーバー。こんな大盛りは見ているだけでおなかいっぱいになりそう……と思いきや、何とも食欲をそそられる出来上がりなのである。
見事な揚げ色が付いた唐揚げ、甘辛ウマそうなタレがしっかりとからんだ手羽先唐揚げ。そしてゆらゆらと立ち上る湯気。見れば見るほど食らいつきたくなってしまう。デカ盛り丼はこのボリュームに味噌汁と漬け物付きで980円! この破格さにまたびっくりだ!!
これは温かいうちに食べなくては! 大きめな唐揚げをひとつ、口に運んだ。サクッとした歯触り、ジュワーと広がる肉汁。ウマいッ! 薄めの衣に包まれた鶏肉はとても柔らかくジューシー。肉味を邪魔しない、ニンニク醤油ベースの下味もご飯によく合う。
こんなに大きな一切れを柔らかく仕上げるのは難しいのでは? コツを店主に聞いてみたところ、鶏もも肉に隠し包丁として薄い切れ目を入れることがポイントだと教えてくれた。そうすることで下味がしみ込みやすくなり、かつ、短い時間で火が通るので硬くなることを防げるそう。さらに時間が経っても柔らかいままだとか。
注文する人の9割は大食い自慢の男性らしいが、中にはギブアップする人もいるそうだ。とはいえご安心を! 食べきれなかった分はお持ち帰りもOK。家でラップをかけずレンチンするかオーブンで温めれば、またおいしく食べることができる。
常連オススメの"レバ唐"も外せない!
完成度の高い唐揚げに舌鼓を打っていると、隣で座っていた常連客が一言。「この店はレバ唐も絶品なんだから! 」。そう言われたら食べずにはいられない。「レバ唐もお願いします! 」。店主は冷蔵庫から生の豚レバーを取り出して大きめのダイス状にカット、衣をつけて揚げてくれた。そして仕上げに秘伝のタレをたっぷりとかけて出来上がり。
揚げたての「豚レバー唐揚げ」をいただくと、レバー特有の臭みやパサつきが全くなく、やわらかでホクホク。これもご飯によく合う! かかっているタレも絶品だ。醤油ベースでしつこくない甘みが豚レバにマッチしている。常連さんいわく、「あげ市は何を食べても期待以上のものが出てきて喜ばせてくれる」とのことだった。そして、しかもこのボリュームで200円という良心すぎる価格に脱帽だ。
常連客の言葉通り、あげ市は「手間ひまかけて作ったおいしい料理をおなかいっぱい食べてもらいたい」、そんな店主と女将さんの優しい思いがこんもり盛られた大盛りメニューたちを堪能できるところ。家の近くにあったら必ず誰もが常連になる、とデカ盛り丼をお持ち帰りさせてもらいながら筆者は確信した。
●information
あげ市
神奈川県横浜市神奈川区六角橋1-8-21
※記事中の情報は2015年1月取材時のもの。価格は税込