「男性って、女の子の気持ちに気づかないよね」。女性たちからよく聞く声です。確かに女性たちからすると、好きというオーラを出しているにもかかわらず、それに気づかない男性って多いのかもしれません。ですが、本当に男性は察することが苦手だったり、誰かの感情に対して鈍かったりするのでしょうか。
男性は察することが苦手
男性は察することが苦手だという理由については、以前に紹介しました。そこでは、はるか昔から男性と女性にはそれぞれの性にあわせた役割があり、それが影響していることを紹介しました。つまり、家事や育児が主な仕事である女性は家や村に残り、同じく家や村に残っている他の女性と1日の大半を過ごします。女性は、一緒に過ごす他の女性の気持ちや真意を察することができなければ、心地よく1日を過ごすことができなかったわけです。
それに対して男性の場合は、猟に出る。基本的に猟は1人で行うので、相手の気持ちを察する必要はありません。また、もし仲間と一緒に猟をするにしても、リーダー的存在の男性の指示に従う必要があります。つまり、男性は単独行動、もしくは明確な指示に従う団体行動を昔から行ってきており、それが影響して「察するのが苦手」となっているのです。男性が誰かの感情を察することが苦手だったり鈍かったりするのも、同じ理由からでしょう。
ですが、こと恋愛に関して考えてみた場合、男性が鈍いというのは必ずしもあてはまらないかもしれません。というのも、以前COBS ONLINEが男性288名に行った「興味のない相手から好意を示されたときにとる行動ランキング」の結果を見ると、興味のない相手から好意を示されたときにとる行動として、第1位は「好意に気付かないふりをする」(26.4%)、第2位は「恋人や好きな人がいることをアピールする」(18.8%)、第3位は「まんざらでもないから、しばらく様子をみる」(18.1%)という結果になっていました。
つまり、「好意に気付かないふりをする」も「まんざらでもないから、しばらく様子をみる」というのも、実際は女性の感情に気づいているということがわかります。気づいてながら、知らないふりをしているだけなのです。もしかしたら、男性は鈍いのではなく、鈍いふりをしているだけなのかもしれません。男性は鈍いと思っていると、大きな間違いをおかしてしまうかもしれませんね。
ただ、男性が女性の気持ちに本当に気づいていないのか、本当は気づいているけれどスルーしているだけなのか、といったことは別として、女性はさりげなさ過ぎるアピールをして「私の気持ち、気づいてよ」と思うのではなく、男性がわかりやすいように気持ちを伝える努力も、コミュニケーションとしては大切なことだと思います。
※画像は本文と関係ありません。
著者プロフィール
平松隆円
化粧心理学者 / 大学教員
1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。京都大学研究員、国際日本文化研究センター講師、チュラロンコーン大学講師などを歴任。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。魅力や男女の恋ゴコロに関する心理に詳しい。
現在は、生活の拠点をバンコクに移し、日本と往復しながら、大学の講義のみならず、テレビ、雑誌、講演会などの仕事を行う。主著は「化粧にみる日本文化」「黒髪と美女の日本史」(共に水曜社)など。