中国の航空機の遅延は日常茶飯事。天候による遅れに加え、中国ならではの現象として公に発表されない軍事訓練での遅れなど、「理由が分からない遅延」が多く、乗客にとってはよりストレスがたまりやすいのは事実である。そんな中、中国では 「空怒族」の行き過ぎた行動が問題になっている。
「路怒」から派生した「空怒族」
空怒族とは読んで字のごとく、航空機の中や空港で激怒して暴れる乗客たちだ。もともと、自動車を運転する際にドライバーが割り込みなどに腹を立て、過剰な報復措置に出ることを意味する英語の「ロードレージ」の中国語訳、「路怒」から派生して付けられた名前である。
中国版ツイッターの「ウェイボー」でも、多くの中国インターネットユーザーが空怒族についてつぶやいている。ネットユーザーたちの意見は概して空怒族に対して厳しい。
雲南省昆明空港で1月9日に起きた乗客が飛行機の非常ドアを勝手に開けた事件では、同乗客は15日間の勾留刑となった。しかし、「これじゃ処罰が軽すぎる、全人代(中国の国会に当たる会議)で立法化して、"中国の特色"となってしまっている空怒族をしっかり取り締まるべき」などと厳しい取り締まりを望むツイートも多い。
また、2014年12月14日にエアアジアのバンコク発南京行きの便であった、中国人乗客が客室乗務員に熱湯をかけた事件でも「法治で"怒"に対抗すべし」など、法整備の必要性を訴えるツイートがなされている。
航空会社の対応を問題視する声も
その一方で、航空会社側の対応を避難するツイートもある。「空怒族は少しもおかしくない。飛行機が遅延する理由を乗客にだまし続ける航空会社に怒らずにいられる? 根本的な解決策もないのに……」「天気とかの問題じゃなくて、航空会社の態度に問題がある。飛行機が来ているのに通知してくれなかったり……」など、航空会社の対応の悪さに業を煮やしているネットユーザーのツイートも少なくない。
「空怒族は中国人の恥さらし、みっともない」と恥じる人もいる一方、「("路怒"が生まれたアメリカにもない)"空怒"が中国にはいるぞ」といかにも"最先端のトレンド"のように揶揄する人までいる。さらに、「なぜこんなに空怒族が多いんだ? 」というツイートに「ご飯食べておなかいっぱいになって、暇になったからじゃないの? 」とコメントする人まで。まだまだ中国の空怒族問題は解決には遠いようである。
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