国際労働機関(ILO)は20日、年次報告書「World employment and social outlook: Trends 2015(世界の雇用および社会の見通しと2015年の動向)」を発表した。それによると、2014年の世界の失業者数は前年比120万人増の2億130万人、失業率は同0.1ポイント低下の5.9%と推定している。
日米の雇用情勢は改善しつつあるものの、欧州を中心に多くの先進国では厳しい状況が継続。世界経済の成長が鈍化する中、今後も失業者数は増え続け、2019年までに2億1,200万人を超えると予想している。
若者(15~24歳)の失業率は、2014年が13.0%、2015年は前年比0.1ポイント悪化の13.1%と推定。危機の影響は若者に特に厳しく、今後も失業率は上昇すると見込んでいる。一方、高齢者は2008年のリーマン・ショック以降も比較的影響を受けずに済んでいるという。
2015年の地域別雇用情勢予想を見ると、欧州の労働市場はさらに経済・政治の混乱に影響を受ける見込みで、「回復は依然として不均質で脆弱」と分析している。
東アジアについては、中国の減速が地域の成長展望に影響を与え、人口動態的課題が悪化すると予測。成長の減速により、失業率は緩やかながら着実に上昇し、特に若者の失業率上昇は顕著になると見込んでいる。
また、現在見られる原油・ガス価格の急落が続けば、多くの先進国経済と複数のアジア諸国で雇用見通しが幾分改善する可能性が指摘されているが、対照的に、中南米、アフリカ、アラブ地域を中心とした原油・天然ガスの主要生産国の労働市場は打撃を受けると見られるという。