先日、惜しくもお亡くなりになった高倉健さんのイメージといえば「寡黙」。高倉健さんに代表されるように、男性といえば口数が少ないというイメージがあります。一方女性は、井戸端会議なんて言葉もあるように近所の主婦たちが集まって立ち話。男性から見ると「そんなに話すことがあるのか」と思うほど、延々と話している女性の姿を見かけることも多いです。しかも、その度合いは年を重ねるごとに増しているような……。どうして女性は、そんなにもおしゃべりなのでしょうか。
「話す」ことが目的の女性
おしゃべりな理由というのは、いくつかあると思います。ですがその前に、話すという行動について考えてみましょう。あなたが、誰かに何かを話す理由はなんでしょうか。当然、相手に伝えるべき事柄があって、それを伝えるために話します。この場合、いわば情報伝達の手段として話すという行動があるわけです。ですが、それはメールであったりLINEであったりと、文字によっても相手に伝えることができますよね。ですので、何か伝えたいことがあって話したいというのは、実はそれほど多くはないのかもしれません。では、そういった手段以外で話すことの意味は何か。それは、話すこと自体が目的となっているということです。つまり、話したいから話す、というわけです。
女性が男性に相談をしたとします。このとき男性は、女性の相談に対して解決策を一生懸命見つけようとします。そして、女性に悩みを聞き終わったとに、「それは、○○した方がいいんじゃないかな」とアドバイスするわけです。男性からすれば、相談を持ちかけられているわけですから、親切に相談の答えを示すわけです。ですが、当の相談した女性からすれば、「そんなこといってもらいたいわけじゃないのに」って思うわけですよね。
悩んでいるのだけど、アドバイスをもらいたいわけではなく、話すことでスッキリしたい。いわば、感情調整の行動として、おしゃべりをしているだけなのです。そして、できることならその悩みに対して共感してほしいわけです。
このように、男性と女性の話すという行動の違いが、女性をおしゃべりにさせているのではないでしょうか。つまり、男性の場合は話すという行為があくまで情報伝達ための手段。伝えるべき情報があっても、それを伝えたらそこで話すという行為は終了。伝えるべき情報がなければ話す必要はないわけです。その一方で、女性の場合は話すことが目的なわけですから、自分が満足するまで話し続けてしまうわけです。
では、どうして年を重ねるごとにおしゃべりになるのか。それは、若いときよりも年を重ねたときの方が、いろいろとストレスが多いからではないでしょうか。抱えたストレスが多いからこそ、話すことでスッキリしたい。ストレスによるマイナスの感情を調整するために、おしゃべりになってしまうのだと思います。
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著者プロフィール
平松隆円
化粧心理学者 / 大学教員
1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。京都大学研究員、国際日本文化研究センター講師、チュラロンコーン大学講師などを歴任。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。魅力や男女の恋ゴコロに関する心理に詳しい。
現在は、生活の拠点をバンコクに移し、日本と往復しながら、大学の講義のみならず、テレビ、雑誌、講演会などの仕事を行う。主著は「化粧にみる日本文化」「黒髪と美女の日本史」(共に水曜社)など。