ワコムは2月上旬、発売予定の待望の新製品「Cintiq 27QHD」、「Cintiq 27QHD touch」を発売する。量販店にデモ機のでることのないこれらの製品を一足早く試すことのできる製品先行体験会が、1月10日に開催された。
このたびお披露目された液晶ペンタブレット「Cintiq 27QHD」は、画面がシリーズ最大の27型となった。フルフラットのガラス画面を採用し、最大表示色10億7374万色、Adobe RGBカバー率は97%。標準的なHDTVの4倍となる2560x1440の高解像度で、精細な表現や細かな編集を行うことができる。また、3月に発売予定の専用のカラーキャリブレーションデバイスを使えば、厳密なカラーマネジメントも可能だ。
今回、特に新しい特徴として見逃せないのが、これまで本体に搭載されていたファンクションキーが、リモコン型のデバイス「ExpressKey Remote」になったことだ。ワコムの担当者にお話を伺うと、「大きな画面サイズの製品を作ったということはもちろんですが、「ExpressKey Remote」は、作業中に(本体のファンクションキーに)うっかり触れてしまい、誤作動を起こしてしまうことがあるというユーザーの意見を反映して導入されました。このデバイスは本体の両サイドであれば、どこでもマグネットで配置することができますし、もちろん画面から離して使う事もできます」という。そう、「Cintiq 27QHD」はこれまで以上にユーザーからの意見を取り入れて開発されたプロ仕様の製品なのだ。
また、タッチ機能に関しては使う・使わないで意見の分かれるところだが、担当者に率直に聞いてみると「画面がより広くなったことで、幅広く画面を使っていただける反面、移動距離も実質長くなりました。これをさらに快適に動かしてくれるのが、指先で操作ができるマルチタッチ機能を搭載した「Cintiq 27QHD touch」ですね。ふたつの機能をうまく使いこなすことでさらに効率よく作業ができると思います」とのこと。なるほど、大きくなることで生まれる「距離」もマルチタッチを使えば快適に操作が可能となる。
ちなみに、これまでの大型液晶ペンタブレットではデフォルトで搭載されていたエルゴノミクス対応のスタンドはオプションとして別売となり、本体を机に直接置いて使うことが可能となっており、本体一体型の折り畳み式の脚によって2パターンの角度で設置することが可能となっている。
今回の体験会では、イラストレーター/キャラクターデザイナーの加藤アカツキさんが偶然にも参加されていたので、「Cintiq 27QHD」を体験した感想を直接うかがうことができた。「普段イラストを描くときは手描きのラフをスキャンしてから作成しています。今は「Cintiq13HD」を使っていますが、作品全体のバランスを見ながら作業したいので大きな画面があると便利だなと思い、体験にきてみました」と、来訪動機を語ってくれた。
「特に試してみたかったのは、リモコンのスクロール感度ですね。スクロール部分にブラシサイズの切り替えを割り当てたいと考えていますが、実際使ってみると切り替えも素早くて気持ちがいいですね」と、「ExpressKey Remote」の使用感に好印象を持った様子。やはりカスタマイズ性の高さは、プロフェッショナルにとって重要なポイントのようだ。ファンクションキーの操作性やペンの滑り方、発色の具合まで細かくチェックしていたのが印象的だった。
また、男女2名で体験会に参加していたデザイナーの方は「Twitterの告知をみて参加しました。今は板の方(ペンタブレット)を使っているので今回、液晶ペンタブレットに初めて触れました。"ガラスを挟んでいる"という感覚が不安だったので試してみたくて。これまでのタブレットだと作業部分の"手元のかぶり"がどうしても気になっていたんですが、液晶だと見たままなのでそういったストレスがなくていいですね」とほほえみながら話してくれた。
先進的なインタフェースを搭載し、より直感的に使うことができるようになった「Cintiq 27QHD」。効率的なワークフローを実現するために、ぜひ一度導入を検討してみたい。なお、今後も各種イベントにおいて、同機種の体験会が展開される予定となっている。詳細はこちらのページより参照してほしい。