「香港に住むほとんどの人が1度は行ったことがある場所」、それがアミューズメントパーク「香港海洋公園(オーシャンパーク)」だ。海沿いの東京ドーム約19個分もの敷地に広がるのは、水族館だけでなく動物園や遊園地から古き良き時代の香港の街並みを再現したエリアまで、エンターテインメントのおもちゃ箱のよう。もちろん、観光で香港を訪れた人にもオススメの場所である。

動物園×水族館×遊園地な「オーシャンパーク」には遊びどころがいっぱい!

2つのエリアをロープウェイがつなぐ

大都会セントラルからほんの数kmのところにあるオーシャンパークは、南朗山という山の両サイドに広がっており、ウォーターフロントとサミットの2つのエリアに分かれている。この2エリアは、山の中を抜ける電車と空をつなぐロープウェイで結ばているのだが、おすすめは断然ロープウェイだ。深水湾沿いに山を越えていく全長1.5kmのロープウェイは、山と海の自然を眺めながら海抜205mの高さを遊覧する。予想以上の壮大な景色なのだ。

ロープウェイから香港を一望する

ワイルドなパンダに会える!

海洋公園といっても、最大の見どころのひとつはアジアの希少動物に出会える「アメイジング・アジアン・アニマルズ」エリアだ。ジャイアント・パンダ・アドベンチャーでは、広いパンダ・ビレッジを歩き回るジャイアント・パンダの生活を間近に見られる。

のしのしと坂道を下ってはわしゃわしゃと笹を食いちぎる、そんなワイルドなパンダの姿も拝める

メインの2頭は1999年5月18日のパンダ園開園以来の重鎮で、1997年の香港返還の記念で中国中央政府から贈られてきたアンアン(安安)とジァジァ(佳佳)だ。さらに近年2頭が加わり、今では4頭が暮らしている。

パンダ園は故郷の中国四川省を想定した温度、湿度を設定してあり、生息しやすい環境を作っているそうだ。そのため、かなり自由で心地良さそうなのだ。広さも悠々と2,000平方メートルほどもあり、ワイルドに動き回るパンダの姿は一見の価値がある。

ちなみに、動物を見るだけでなく絆を感じてもらいたい、というコンセプトの元、QRコードなどを使ってパンダの生態を紹介している。パンダの喜怒哀楽ごとに違う鳴き声や、普段の生活、保護の仕方なども学べるようになっている。

お土産コーナーのほか、パンダの鳴き声の違いが分かる学びの場も提供

「アメイジング・アジアン・アニマルズ」にはパンダのほか、レッサーパンダやチュウゴクオオサンショウウオ、ヨウスコウワニといったアジアでも貴重な生物もいる。動物たちには特別な訓練は行っていない。そのため、ありのままの姿を垣間見ることができる。

レッサーパンダの姿にも癒やされる

最新技術を駆使して生態系も学べるサメ館

2014年6月27日にもともとあったサメとエイの飼育施設を大リニューアルしたのが、新サメ館「シャークミスティーク」だ。

館内中心部に360度から見渡せる大きな水槽が置かれており、まわりを歩きながら深海の中の生物を鑑賞しているような体験ができる。水槽の水量は2,200tあり、幅22m、奥行き38m、高さ7mと、超巨大。100匹以上のさまざまな種類のサメが飼育されており、アジア最大級の展示種類を誇る。ぐるっと歩いている間に超近くでたくさんのサメやエイを見ることができるのだ。

また、周りの壁面には最新技術を使ってサメの生態や体の構造などのディスプレーがあり、サメのあらゆることを知ることができる。子供だけでなく、大人も楽しめ、むしろサメファンになってしまうかもしれない。

容量2,200tの円柱状の大型タンク。上からも優雅に泳ぐサメの姿を見られる

サメ以外にも大きなエイがいて、ガラス越しに近寄ってくる

広東料理の代表素材でもあるサメのフカヒレだが、製品ボイコットの呼びかけもしている。なお、サメ館のまわりは香港の漁村をイメージしている

オーストラリアからプレゼントされたコアラも!

海洋公園の真骨頂「アクア・シティ」エリアでは、世界初の360度ウォーター・スクリーンを使ったショー「シンビオ」や直径5.5mの水中トンネルを誇る人気水族館「グランドアクアリウム」などがある。正真正銘の海洋動物の世界を十分堪能できるのだ。

また、3月にはコアラ館もオープン予定。オーストラリアからプレゼントされた3匹のコアラのほか、ワラビーや固有鳥などもお目見えする。1997年に香港政府から無償で土地を提供され作られた施設のため、エンターテイメントに教育的要素や環境保護の観点も取り入れるそうだ。遊びながら生物の大切さ、生物の世界を知ってもらおうという世界でも有数の海洋生物テーマパークなのである。そのほか、北極からはキツネが、南極からはペンギンもそろい組である。

北極キツネも人気

南極のペンギン館ではコウテイペンギンに会える

遊園地エリアで香港グルメを

エリア内には動物園・水族館のほか、遊園地エリア「スリル・マウンテン」もある。ここでの目玉は2011年に誕生した最新アトラクション「ヘア・レイザー」。フロアレスのぶらさがり型絶叫マシンで、高台の山の上のさらに高いところから海に向かってねじれて落ちていく様は、空と海を交互に見ながらかなりの爽快感が味わえる。

また、1950年代から1980年代までの香港の街並みを再現した「オールド香港」もオススメ。 バスは当時のものを移設し、トラムは当時そっくりに再現するほか、レールも敷いている。看板の漢字の書体や食べ物も当時のものを見ることができ、タイムスリップ感を味わえるだろう。

海に落ちそう! な絶叫コースターの「ヘア・レイザー」

レトロな雰囲気が漂う「オールド香港」

※記事中の情報は2014年10月取材時のもの