三井住友カードはこのたび、富士通総研、ビザ・ワールドワイド・ジャパン(以下Visa)、NTTデータと協力し、大阪市の生活扶助費の一部をプリペイドカードで支給するモデル事業において、Visaプリペイドカードによるソリューションを2015年春を目途に提供開始すると発表した。生活扶助費などの公的給付にプリペイドカードを活用する取り組みは日本で初めてだという。
三井住友カードと富士通総研は、大阪市に対して、「受給者の利便性確保」と「生活扶助費の透明化(利用実態把握)」があわせて実現可能なソリューションとしてVisaプリペイドカードの活用を提案してきた。これは、生活保護受給世帯が全国的に増加している中で、近年では金銭管理をはじめ各種生活支援サービスのニーズも増えてきたことが背景にあるという。その結果、このたび、Visaプリペイドカードが生活保護費の支給に関し有効なツールになるかどうかを見極めるために、大阪市と三井住友カードおよび富士通総研が協定を締結し、モデル事業として推進することとなった。
具体的に、このたびのモデル事業では、大阪市がプリペイドカードでの支給を希望する生活保護受給者に対してVisaプリペイドカードを配付し、生活扶助費の一部をチャージする。Visaプリペイドカードを受け取った受給者は、現金の引き出しや受け取り手続などを行うことなく、Visaカード取り扱いのある店舗あるいはインターネット上で日常生活に必要な物品などをVisaプリペイドカードにて購入し、利用状況やチャージ残高を電子メールやインターネットで確認することが可能になるという。大阪市では、受給者に対して家計支援を実施する際に、必要に応じて利用状況を照会し、そのデータを活用するとしている。
半年から1年程度のモデル事業の実施後、富士通総研がとりまとめる報告書の内容や実施状況を踏まえて大阪市により効果検証が行われ、Visaプリペイドカードの本格的導入を含めた生活保護施策への活用について検討が行われる見込み。
Visaプリペイドカードは、スーパー、コンビニだけでなく、オンラインショッピングを含め幅広くVisaの加盟店で利用できる。そのため、米国を中心に海外では政府機関による各種公的給付においても広く活用され、政府機関の書類手続きの削減や住民への支給の迅速化など、行政効率化を実現しているという。
三井住友カード、富士通総研、Visa、NTTデータは、このたびのモデル事業を通じ、大阪市同様に全国の自治体への展開を進め、自治体および利用者のニーズに応えることで社会的課題の解消を図るとともに、政府の日本再興戦略における具体策の一つである、公的分野での電子決済の利用拡大を含むキャッシュレス決済の普及を目指していくとしている。
モデル事業の実施体制
同モデル事業においては、三井住友カードは、NTTデータが提供するクラウドサービス「PaySpreme」を利用し、Visaプリペイドカードの発行・業務受託を行っている。「PaySpreme」は、既存のクレジット決済インフラを活用可能な「国際ブランド付帯プリペイドカード」の発行やカード残高管理、会員管理、利用加盟店制御に必要となる各種機能をワンストップに提供するクラウドサービス。各社連携の実施体制は以下の通り。