損害保険ジャパン日本興亜(以下損保ジャパン日本興亜)と一般財団法人リモート・センシング技術センター(以下RESTEC(人工衛星等を利用して、地球の現状を探査するリモートセンシングに関する総合的研究開発、サービス提供を行う一般財団法人))はこのたび、ミャンマーの農家を対象にした『天候インデックス保険』を共同開発した。今後、ミャンマーの保険会社を通じ、2015年度からの販売開始を目指すと発表した。
天候インデックス保険とは、天候指標(降水量、気温など)が、あらかじめ定めた条件を満たした場合に、契約上定められた保険金を支払う保険のこと。
「アジア最後のフロンティア」として、世界的な注目を浴びているミャンマーは、GDPの約4割を農業が占めているが、近年の気候変動によって、干ばつや洪水などの自然災害が多発しており、農家に多大な被害をもたらしているという。損保ジャパン日本興亜は、気候変動に対する適応策として、ミャンマーの隣国であるタイの稲作農家向けに『天候インデックス保険』を2010年から提供。
ミャンマーにおいては、2014年9月に両国大臣が出席する「日緬農林水産業・食品協力対話ハイレベル会合」で、同社『天候インデックス保険』が同国の農業分野に対して貢献できることを紹介し評価を得るなど、これまでミャンマー政府と連携しながら同商品の開発を進めてきたという。しかし、ミャンマーは気象観測のためのインフラと過去からの気象データが十分ではなく、『天候インデックス保険』の開発に大きな障害となっていた。
そこで、損保ジャパン日本興亜は、衛星リモートセンシング技術(人工衛星に搭載した観測機器(センサ)を使い、離れた位置から地球表面等を観測する技術)について豊富な知見を有するRESTECとともに、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が提供する衛星全球降水マップ(GSMaP)(JAXAが提供する全球降水マップの名称。日米欧などの人工衛星データから1時間ごとに作成)等の人工衛星データを活用することで、ミャンマーにおいても、『天候インデックス保険』を共同開発することに至った。人工衛星から推定された雨量を活用した『天候インデックス保険』の開発は、日本初だという。
『天候インデックス保険』の概要
保険対象者(被保険者):対象地域の農家
対象作物:米、ゴマ
対象地域:マグェ管区、ザガイン管区を含むミャンマーの中央乾燥地帯
対象リスク:干ばつ(雨季の少雨リスク)
補償内容:人工衛星から推定された雨量が事前に定めた値を下回った場合に、事前に定めた金額を保険金として支払う
損保ジャパン日本興亜とRESTECは、このたびの対象リスクとなっている干ばつ以外にも、サイクロンや多雨のリスクを対象にした『天候インデックス保険』の開発に着手しており、今後もミャンマーにおける気候変動に適応する商品やサービスの開発を強化していくとしている。