iPad/iPhone向けのスタイラスペンというと、これまではゴムなどでできた柔らかく太いペン先の物が主流だった。しかし近年は、まるでペンタブレットのように固くて細い芯の物もリリースされており、特にイラスト描画を手がける人にとっては注目のアイテムとなっている。ワコムから発売されているiPad向け筆圧対応スタイラスペン「Intuos Creative Stylus 2」も、そんな製品のひとつだ。

前機種でも素材はゴムでありながらもペン先は業界最小レベルの6mm径と、ペン先の「細さ」にこだわった設計であったが、この製品では同社のペンタブレット用のペンに近い2.9mmの樹脂製ペン先に変更されている。この変化は、iPadで緻密な絵画を仕上げることで知られる"iPad画家"の目にどう映ったのだろうか。

今回は、普段、指だけを用いてiPad/iPhone上に写実的な絵画を描く画家 山岡セイコウ氏が、同製品を使って作品制作を行った様子を公開する。

山岡セイコウ氏がこれまでに描いた作品。その他の同氏の作品は公式Webサイトで見ることができる

山岡氏には前機種のレビューを行っていただいたが、ファーストインプレッションは「ペン先がやや太い」というものだった。使用していく内に細かな操作も可能だと実感したそうだが、せっかくの機会なので、実際にペン先が細くなった「Intuos Creative Stylus 2」にも触れていただいた。

今回描画していただいたのは、2015年の干支である「ひつじ」。まずは時系列順に写真で描画の様子をお届けする。ひつじの細かな毛並みの質感まで描き込まれており、呼吸さえ感じ取れそうなリアルな仕上がりとなった。

山岡氏によるひつじの絵の描画。上段左上から描き初め、下段右下で完成となる

「Intuos Creative Stylus 2」の第一印象について、「やはり前機種に比べて先が細くなったことで、ペンで書くような感覚で描くことができました」と一言。また、山岡氏の作品制作は長時間にわたることが多いため、わずかなペンの重量も作業に関係してくる。この点については、「ペンの重量は重すぎず、かといって軽すぎず。長時間使用していても疲れず、ちょうど良い重量感に好感を持ちました」と評価していた。ちなみに、同氏が使用している描画アプリ「ArtStudio」は、筆圧感知・パームリジェクションに対応していなかったため、その部分については今回体感できなかったとのこと。対応アプリについては製品ページにて確認してほしい。

描画中の様子

今回描いた羊のほか、同氏はLINEスタンプ用のイラストを描いてみたところ、「個人的には、筆で描く感覚に近いひつじよりも、サインペンで描く感覚に近いイラストの方が、スタイラスペンとの相性が良いように感じました」と語ってくれた。緻密なイラストから現在活況となっている「LINE Creators Market」で販売するスタンプの制作まで、普及したデバイスであるiPadで行うことができる「Intuos Creative Stylus 2」。手持ちの機材を活用して本格的に絵を描きたい人は一度導入を検討してみてほしい。

山岡氏は、普段手がけている水彩画風の絵よりも、LINEスタンプ用の輪郭線がはっきりしたイラストの方が、スタイラスペンとの相性がよいと感じたという