こんにちは。フィスコリサーチレポーターの飯村真由です。ウクライナ情勢の緊迫化や中国の景況感悪化を受けて、厳しい相場展開となっていますね。4月には消費税が増税されました。日本株は今後どうなってしまうのでしょうか? 今回は「日経平均下落のサインと対処法」についてお話したいと思います。

フィスコリサーチレポーターの飯村真由氏

日経平均VI(ボラティリティ・インデックス)とは?

みなさん、日経平均VI(ボラティリティ・インデックス)という指数をご存知でしょうか?

この指数は値が高くなるほど「投資家は将来の相場が大きく変動する」と感じていて、30pを超えると不安を感じ"狼狽売り"が増えるとされています。狼狽売りとは、急に相場が下落したことで慌てて持ち株を売却すること、投売りしてしまうことをいいます。

日経平均VIが今年はじめて30pを超えたのは1月30日30.05p。2月4日には33.21pまで上昇、この日の日経平均は-610円と今年最大の下げ幅を記録しました。翌5日に一時14000円を割り込み、13995円まで下落。1月30日の終値は15007円でしたので、わずか4営業日で実に1000円以上も下げたことになります。

3月14日にも一時30.04pまで上昇し、個人投資家が中心の中小型株は連日大きく売り込まれる展開となっていますね。

つまり、この日経平均VIが30pを超えたときは投資家マインドが大きく悪化しているサインと読むことができます。相場のムードが悪くなってきたなと感じたときには日経平均VIの動きも気にしておくようにしましょう。

日経平均VIが上昇した主な出来事

  • 2008年10月:リーマンショック発生後に92.03p

  • 2011年3月:東日本大震災発生時に69.88p

  • 2013年5月:バーナンキショック発生時に48.35p

リーマンショック後の数値が異常なことがわかると思います。あの時の投資家心理の悪化は凄まじいものがありましたよね。

ワンポイントアドバイス

恐怖指数とも言われるVIXの日本版が日経平均VIです。VIXとは投資家の不安心理を数値化したもので、米国の主要株価指数であるS&P500を対象とするオプション取引のボラティリティを元に算出しています。通常値は10~20程度で推移していますが、2008年10月リーマンショック発生時には89.53まで上昇しました!

日経平均が下落した時に買われやすいもの

次に、日経平均が下落した時に買われやすいものを考えてみましょう。

相場がリスクオフの流れに傾いたときには、安全資産と位置付けられているものに資金が向かいます。

  • 日本円が買われ、円高に傾きます。

また、ドルが売られた時には、

  • 金も買われやすくなる傾向があります。

そして、

  • 債券が買われ、金利が低下します。

これらは日経平均が下落したときに上昇しやすい傾向がありますが、必ず逆の動きを見せるものがあります。

それは、日経平均ベアETF<1580>などインバース型の金融商品です。

ETFは市場で売買されている上場投資信託で様々な種類があります。なかでも注目を集めているのがレバレッジ型・インバース型というものです。

  • レバレッジ型(ブル)…レバレッジとは「てこ」の意味です。「てこ」の力を働かせて倍の利益を得ることを目的にしていて、日経平均ブル2倍<1579>は日経平均が1%上昇したら2%上昇します。上昇相場の時に買うと高いパフォーマンスが狙えます

  • インバース型(ベア)…インバースとは「逆」の意味で、日経平均ベア<1580>は日経平均が1%下落したら1%上昇します。下落局面の時には無理に個別銘柄を追いかけずにこちらを買っておくというのも1つの方法です。株式と同じように市場で日々売買できますし、流動性も十分にあります。売買単位は10株ですので、10万円以下で購入可能というのも魅力ではないでしょうか

日経平均日足チャート

日経ベア<1580>日足チャート

懸念材料は"アベノミクスそのもの"とも

さて、4月に消費増税も実施され、今後の日本株はどうなるのでしょうか?

やはり個人消費の落ち込みが顕著に現れるのかもしれません。景気への悪影響は避けられないのではないかと考えています。株式市場においても軟調な展開を想定しておいた方がよさそうです。海外リスクにも引き続き警戒が必要ですが、国内要因としての懸念材料は他に何があると思いますか?

実は"アベノミクスそのもの"とも言われています。高々と掲げた農業・医療・雇用の規制緩和といった成長戦略がいっこうに具体化されていないことや、韓国・中国との関係悪化などを不安視する海外投資家の声は日に日に大きくなってきているのです。また昨年、日銀が行った大規模金融緩和"黒田バズーカ"の効果も薄れつつあり、円安傾向も一服となっていますよね。

株式市場の暗いムードを払しょくするには、日銀の追加金融緩和策"黒田バズーカ第2弾"と法人税減税、そして、成長戦略の進展の3つが大きな焦点とされており、海外投資家の期待もそこにあります。政府が消費税をさらに10%へ引き上げを決定するにあたっては、7-9月期のGDP数値が重要になってきますので、対応策に期待したいところですよね。

これらの明るい材料が出ない限り、しばらく個別銘柄では利益を出しにくい相場が続くのかもしれません。「休むも相場」という有名な相場の格言があるように、時には様子を見ることも大切ですよ。下落相場の最中にムキになって下値を買い下がることはリスクが大きいです。今回ご紹介したETFなども上手に活用しながら、冷静な対応を心がけてくださいね。

執筆者プロフィール : フィスコ リサーチレポーター 飯村 真由

JALの元筆頭株主である糸山英太郎氏の秘書時代に株と出会い、現在はフリーライター及びフィスコリサーチレポーターとして活動中。Yahoo!ファイナンス株価予想での的中率が高く、また購入しやすい価格帯にこだわって成長株を厳選しているスタイルも評判となっている。特に短期投資向きの銘柄選びに定評があり、毎月5銘柄ずつ紹介している単独レポートも好評。個人投資家から多くの支持を集めている。
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